医局長のつぶやき

2019年11月

ESC Asiaで研究発表してまいりました。

北里大学北里研究所病院 循環器内科 藤吉 和博

「どんな論文でも必ず行きつく港がある。」かの有名な医師の言葉を胸に日々臨床と研究に励んでおります藤吉でございます。今回、2019年11月9日から11日にシンガポールで開催されました第1回ヨーロッパ心臓病学会(ESC) Asiaにて臨床研究発表の機会を頂き、貴重な経験をさせて頂きましたので寄稿させて頂きたく存じます。
記念すべき第1回開催となるESC Asiaでの発表に至った経緯です。循環器内科医なら誰しもが憧れるESCでの発表でありますが、毎年バレンタインデーが抄録期限なのでESCに宛てた恋文は、ゴールデンウイークに見事玉砕した形となったのきっかけです。悲しみに打ちひしがれながら、推敲してアメリカ心臓病学会にむけて頑張ろうと思った矢先、ESCからのご紹介でESC Asiaへのお誘いがありました。昨年までこのような救済措置はなく、ESC派閥の会にて発表させて頂けるのであればと謹んでお受けした次第でございます。
シンガポールは港町、飛行機内からタンカーやフェリーが集まってくる様子をみると、ここもまた港の1つと感慨深いものがありました。会場はダウンタウンの巨大ショッピングモールの最上階であり、場内はアジア圏の方が多く非常に親しみやすい雰囲気でありました。海外勢の流暢な英語プレゼンテーションに感銘を受けつつ、しっかり聴講して参りました。私は’’Impact of Catheter Ablation for Atrial Fibrillation on Cognitive Function’’心房細動患者様の認知機能におけるカテーテルアブレーションの効果について発表させて頂きました。カテーテルアブレーションにて洞調律維持できた群は、心房細動の再発群と比較して、認知機能の改善を認めていたとの報告です。同セッションには心房細動と認知機能をテーマにした研究者もいらっしゃり、熱いdiscussionを交わすことができました。無論「発表だけでは意味がない。全部ペーパーにする。」その志は忘れません。
発表が終われば、打ち上げです。6月にはフィリピンで開催されたアジア太平洋心臓病学会(APSC)は0泊3日の発表旅程であったため、今回1泊できる喜びを噛みしめてシンガポールの夜を楽しんでまいりました。マーライオンや有名ホテル、旧市街の屋台を眺めれば、そこにいるだけでテンションがあがること間違いなしです。港町であり海産物も豊かで、チリクラブは極めて美味でございました。この感動は筆舌し難いものがあります。ベイサイドエリアの夜は、ヨーロッパとはまた異なる常夏の夜長にてココナッツの良い匂いと怪しくライトアップされた街並みを堪能でき、最高でした。
最後になりますが、本研究発表は大和市立病院循環器内科の東條大輝部長の下、データの蓄積には吉澤智治先生のカテーテルアブレーションがあってこそでした。さらに北里大学医学部循環器内科 南尚賢先生の推敲あっての賜物であります。また海外出張を快諾して頂きました北里研究所病院スタッフ方々、シンガポールまでご足労頂きました阿古潤哉教授、ありがとうございました。今後もこの貴重な経験を活かし臨床および研究に一層励んでまいりますので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。

(左上段)シンガポールのランドマーク、マーライオン。
(中央上段)ESC Asia会場、巨大な建造物に圧倒。
(右上段)ポスター発表、ちゃんと仕事しました。
(左下段)シンガポールスリング、いい仕事の後のお酒は格別。
(中央下段)チリクラブ、私史上ナンバー1グルメ。
(右下段)教授も絶賛のシンガポールグルメ、Great。