医局長のつぶやき

2020年09月

「初のWeb開催!ESC2020を終えて」

医療系研究科博士課程4年 白川 裕基

2020年8月29日-9月2日までESC2020が開催され、ポスターセッションにて発表させていただきましたので御報告致します。不整脈班の私以外に虚血班から橋本先生、加藤先生、片峰先生、心不全班から鍋田先生、矢﨑先生が発表されました。
「今年はオランダ/アムステルダムで発表!観光も楽しんできました!」とたくさんの写真とともに御報告できるはずでしたが、新型コロナウイルスの影響を受け初のWeb開催となりました。残念ながら記念の写真や楽しい思い出話などはありませんが、ESCという大きな学会で発表する機会をいただけたことに感謝し、御指導いただきました先生方に改めまして御礼を申し上げます。
私の演題は「Remote monitoring can predict lethal arrhythmic events through time-domain analysis of heart rate variability in patients with implantable cardioverter defibrillator」でした。私の大学院生としての研究テーマであり、「心臓植込みデバイスの遠隔モニタリングを用いて、心室頻拍/心室細動(VT/VF)のような致死性心室性不整脈イベント発生を予測できないか?」という疑問から始まりました。2018年時点で本邦の突然死の発症数は年間約12万人であり、その半数以上が心臓突然死と言われています。その原因の多くを占める致死性不整脈の発生には様々な因子が関与しますが、特に自律神経活動に関する報告が多くなされています。自律神経活動の非侵襲的指標として心拍変動(HRV)があり、心臓植込みデバイス患者の遠隔モニタリングデータと致死性不整脈イベントの関連を検討し、HRVの予測因子としての有用性を報告しました。Web開催のため実際にどれくらいの方々に私のポスターを見ていただけたかはわかりませんが、発表までに費やした時間は決して無駄ではなく、大学院生としても一人の医師としても非常に貴重な経験をさせていただきました。北里大学循環器内科では比較的早い段階で大学院へ進学します。そのため、早くから臨床・基礎研究に携わり、多くの学会発表の機会を得ることで、知見や視野が広がります。阿古先生が教授に就任されて以降臨床においてもますます飛躍的に発展しており、整った指導体制のもとで研究にも従事できることが最大の魅力です。
当科でも感染対策として、一部オンラインでのカンファレンスを実施しています。今までの対面で行うものとは異なり、話し手や聞き手の表情、反応が読み取りづらいという難点もありますが、その分いかに相手に伝わるように資料を作るか、話をするかなど、「ヒトに伝える、表現する力」を養うことができたのではないかと思います。今後もオンラインでの学会や講演会が続くことが予想され、他院の先生方や多職種の方々と直接交流する機会がないことは非常に残念ではありますが、新型コロナウイルスとの共生、最終的には終息に向け、微力ではありますが一人の医師として日々努めていきたいと感じています。
このような時だからこそ、阿古教授率いる北里大学医学部循環器内科より世界へ発信し続ける必要があるのではないでしょうか。力を合わせ頑張っていきましょう!!
大学院生生活も残りわずかですが、悔いのないよう精進して参ります。引き続きの御指導・御鞭撻の程宜しくお願い致します!