医局長のつぶやき

2020年10月

心不全学会2020つぶやき

循環器内科学 助教 鍋田 健

本年の心不全学会学術集会は2020年10月15-17日に行われた。当初はパシフィコ横浜にて行われる予定であったが、新型コロナウイルス蔓延もありAll web形式での開催となった。当院からは滝上先生、大木先生、前村先生、藤田先生が一般演題に採択されたが、一般演題は原則抄録のみの提示となったため実際に口演での発表は行われなかった。

私は特別企画での演者とランチョンセミナーでの座長の役割をいただいた。特別企画はU40心不全ネットワーク関連企画である。U40心不全ネットワークは全国40歳以下の心不全を主に診療している若手で構成される団体であり、ここ数年はこの学会の1日枠で初学者向けのレクチャーや、独自のセッションを行わせていただいている。私は同団体の幹事であることもあって、第一セッションの心不全の診断に各種画像診断をどう行うかという内容で発表した(図1,2)。

図1 質疑対応中の筆者(右下)
図2 発表スライド表紙

またランチョンセミナーでは最近本邦で発売された新薬サクビトリル・バルサルタンに関連したセッションで座長を行い、実際どのようにこの薬を用いるか既存のエビデンスのまとめ使用方法の実際を議論した。

また学会終了後には心不全緩和ケアコース(HEPT)の指導者講習会に参加した。HEPTは昨今要求が高まっている心不全緩和ケアのトレーニングに特化したコース(図3)で、2019年より学会認定のコースとなった。私は以前からこのコースに参加させていただいており、今後指導者の立場から神奈川県を中心として心不全緩和ケアを推進していく予定である。

図3 HEPTの紹介ページ(http://hept.main.jp)より。1段目左から2番目が筆者

学会には他にも多くの魅力的なセッションがあったのだが、多くが平日に行われたということもあり、リアルタイムで聴講することはほとんどできなかった。Web開催のメリットとしてどこでも参加できる点があるが、現実問題としてどこからでも参加できるから出張届を出せず、通常勤務を休んでリアルタイムでの参加がしにくくなるというのはデメリットだと思っている。コロナ時代でWeb学会の良さがわかり今後もメインになっていく可能性が高いので、このあたりがどうにかならないかなあというのが率直なところである。