循環器内科教室について

心不全とは状態を指す

そもそも心不全というのは病名ではなく状態です。心臓が動かなくなる状態を指し、かなり広範な概念を含んでいます。

心不全は心筋梗塞の後、その結果として出てきます。高血圧も放置しておけば最終的には心不全になります。最近は、心不全になるリスクがある状態も心不全と呼びます。心臓血管疾患の最終病像は全て心不全に繋がっています。

心臓自体は丈夫な臓器なので他が悪くなっても働き続けますが、心不全は終末期の症状なので、あるポイントにくると急に異変が出てきます。しかしその時点でできる治療は限られていますので、そうなる前に手を打たなければなりません。当院は専門施設なので、他院では手に負えない患者さんも受け入れ、治療を組み立てていきます。隠れ心不全については調べてみて初めてわかるため、神経血管全部に焦点を当てないといけません。どうやって見つけるかが課題です。


オーケストラの指揮者的役割

循環器内科には、職人肌の素晴らしい先生が多く、尊敬している先生もたくさんいます。ここの心不全班は、そういった医師、メディカルスタッフ、栄養士、理学療法士、ナース、薬剤師を束ねていく、プロデューサー的な役割をしているチームです。それぞれ専門家が、いざという時に集結し、適材適所で治療にあたります。そのためには各人の才能とチームワークが不可欠です。

心不全班では、様々な疾患の情報を統合して、ベストな治療法を導き出すために尽力しています、日本では、匠たちをとりまとめるシナリオを書ける人材がまだまだ不足しています。そのための研究、システムづくり、人材の育成に従事しています。

心不全班では、多方面の情報から取捨選択して包括的に診ていく視点とともに、初期疾患から看取りまでひとりの人生に寄り添うこともあるので、空間的、時間的な広がりがあるのが特徴です。

心不全班をつくった理由

これまでは各担当医、各スペシャリストが片手間にやらざるを得ない状況で心不全を診ていましたが、現状はあまり上手くいっていませんでした。カテーテルで詰まった冠動脈を広げた時は皆で患者さんを診ますが、時が経つにつれてその患者さんの心不全に気づかないまま目が離れていきます。それを見つけて治療をしていくルートをつくる必要性を感じ、仲間へ相談を持ちかけ、ある程度の指針をもって治療方針を決めていく検討会を立ち上げました。

まず、自分たちの心不全患者のデータを出し合って、研究に繋げ、新しい発見は外部へ発信しました。そのおかげで全国に仲間ができました。結果として上手くいかないこともありますが、反省点を踏まえて次に繋げる努力をしています。心不全の研究には、絶え間ない試行錯誤と軌道修正が必要です。


ノウハウを全国へ発信

心臓はポンプで、ポンプに支障が出た状態を心不全というので、全ての道は心不全に通じます。そのため他の臓器にも影響する全身病という考え方もあります。病気が複数あったとしたら治療の優先順位や、心臓と腎臓、心臓と脳、心臓と腸という連関もありますので、慎重に対処していかなければなりません。

クリティカルパスとは流れ作業的になっている標準的な治療です。まず心不全のクリティカルパスをつくり、自分たちのノウハウを広く周知したいという気持ちがあり、学会をはじめ書籍やDVDで全国へ発信するようになりました。DVDについては、心不全の状態や処置について北里方式を紹介するツールをつくる企画を進めていた時に、映像会社が聞きつけて製作してくれることになりました。2015年4月に北里オリジナル患者指導・学習用DVD『そうだったのか、心不全』が完成しました。心不全について理解を深める教材として活用してもらえればと思っています。