循環器内科教室について

救急と循環器内科ががっちりコラボする体制

現在救命救急災害医療センターに出向している循環器内科のスタッフは診療准教授1、助教2、レジデント1の計4名体制。全国的にみても救命センター内にこんな厚い循環器の布陣をしているところはありません。救命救急班では急性期の循環器疾患(急性心筋梗塞 急性心不全 肺梗塞 大動脈解離などの疾患はもちろんのこと、心室細動VFに対するPCPSなどの機械的サポート、劇症型心筋炎に対するLVAD植え込み症例まで)の初期治療からICU滞在中の治療を担当しています。

救急出向中は外傷から災害医療、プレホスピタルまで幅広く経験します

循環器内科を専門としていても救命センター出向中は外傷診療から中毒 はたまた災害医療、ドクターカーやドクターヘリによるプレホスピタル医療まで幅広い症例を経験します。これも北里大学循環器内科の特徴の一つです。循環器の専門技術をおおいに発揮しながら、同時に、交通事故による多発外傷ショックなどの外傷診療にも携わる・・・・この医療の原点ともいえる体制は特に若手レジデントにも好評です。循環器内科大学院で研究生活を送りながらある一定の期間は救命センターで同時に臨床スキルを磨く、そんな先輩たちも大勢います。

救命救急班は災害医療に対しても積極的にかかわっています。2011年の東日本大震災はもちろん、2015年の茨城県常総水害においても茨城県庁での現地DMAT対策本部の本部長を派遣するなど全国の災害に対して急性期から人員を積極的に派遣する体制を整えています。もろん国内災害だけではありません。JDR(国際緊急援助隊)に登録しているスタッフもいます。海外で有事の際は日本国の代表として日の丸をつけて海外の被災地へ向かうこととなります。

地域の救急隊と連携しながら心筋梗塞の予後改善に取り組んでいます

心筋梗塞の治療に大事なこと、それは一刻も早い閉塞部位の再灌流です。この目的のためには病院に搬送されてからの治療時間短縮だけでは不十分であり 地域の救急隊や病院・開業医院を包括した地域の体制作りが不可欠です。北里大学循環器内科はドクターカーにモバイルクラウド心電図を搭載し、消防との協力体制を構築してきました。発表された論文によると北里大学ドクターカーが出動した急性心筋梗塞症例ではdoor to balloon timeが18分短縮されています(74.1±15.8分から52.0±12.1分へと短縮)。同時にEMS(消防署への119入電)から再灌流までの時間(EMS to balloon time)も約20分短縮できました。
今後の合言葉は欧州心臓病学会から昨年提唱されたFMC(First Medical Contact) to balloon timeの短縮!

我々はモバイルクラウド心電図を利用しながら引き続き地域全体での心筋梗塞の予後改善に取り組んでまいります

県警ヘリ ドクターヘリ 海上保安庁ヘリなどとの連携もさかんです

2014年に完成した新病院の屋上ヘリポートは耐重量が11tと大型ヘリ スーパーピューマーマも着陸可能な最大級の屋上ヘリポートです。日々のドクターヘリによる搬送症例だけでなく、海上保安庁羽田特殊救難隊(通称:海猿)とも協定を締結し、海保ヘリ救助された症例はダイレクトに北里大学病院へ搬送されてくる体制が整っています。心臓に関係した症例では船舶航行中に胸痛がでた症例などでは海保ヘリが救助に向かい、海猿によって吊り上げ救助され、そのまま北里大学病院へ空路搬送されてきます。患者さんは迅速に心電図、心エコーなどを施行され、急性心筋梗塞の診断で緊急カテーテル治療となります

救命救急班はこれからも発展していきます

救命救急班はPCPS LVADを装着した重症患者の航空搬送などについても日本屈指の経験を誇っていてそのノウハウを集中治療学会や航空医療学会のシンポジウム等にて積極的に公表してきました。今後も地域の消防、病院はもちろん海上保安庁、航空自衛隊、県警航空隊などとも連携を深めながら体制作りを進めます。

急性期循環器治療に専門性をいかんなく発揮しながらも外傷・中毒などの急性期疾患から災害医療、プレホスピタルまで関われる医師の育成、これが救命救急班の役割です。若手のみなさんの積極的な参加お待ちしています。