循環器内科教室について

心臓二次予防センターで再発予防

北里大学東病院に2000年から心臓リハビリテーション室が設立され、2001年には心臓二次予防センターができました。回復期の心臓リハビリテーションがスタートしたのは2011年です。
心臓二次予防センターでは、心臓・血管疾患の再発予防を行っています。カテーテル治療後の患者さんを、近隣のかかりつけの医師に引き継ぐ際に、心臓二次予防センターに登録してもらいデータ管理をします。通常はお近くのかかりつけの医師に診てもらい、年に1度は当院へ定期検査に来てもらっています。

心臓疾患で生死をさまよった患者さんは「もし夜中に心臓が苦しくなったらどうしよう?」「かかりつけの病院には最新の設備がないけれど大丈夫かしら?」という不安を常に抱えています。心臓二次予防センターは、慢性期の患者さんの不安を取り除き、かかりつけの医師とタッグを組んで継続的に診ていこうというシステムです。24時間ホットラインも開設しています。現在は5500人が登録し、連携診療所が270箇所あります。このようなアフターフォローを行っている病院は日本ではまだ珍しく、当病院は草分け的な存在です。

定期検査の内容は、患者さんの病気に応じた検査を行い、ドクター、ナース、栄養士、心臓リハビリテーション指導士の指導を受けてもらいます。慢性期の再発予防は、食事指導や生活指導が大事です。検査の結果をかかりつけの医師に報告して、患者さんのデータを双方で共有しています。

循環器病予防医学を最初に提唱

心臓二次予防センターは先代の和泉教授が考えたシステムで、循環器病予防医学を最初に提唱したのが我々です。日本では循環器病予防医学を専門に扱う病院がなく、全国の先生に執筆を依頼して2012年に『エビデンスに基づく循環器病予防医学』を刊行しました。

循環器病の問題は、心不全が増加傾向にあることです。虚血性心疾患や動脈硬化は心臓の欠陥で起こりますが、高血圧や糖尿病でも全て心不全になるのです。心不全の予防が循環器病予防医学の大部分を占めています。そのため、動脈硬化班、心不全班、不整脈班といった領域を超えて疾患を管理し、患者さんの指導を行っています。それは当院の特徴でもあり、全国から、心臓二次予防センターや心臓リハビリテーション室の見学に訪れています。

不可欠な心臓リハビリテーション

回復期、慢性期の患者さんに、心臓リハビリテーションは不可欠です。心臓リハビリテーション室では、回復期、慢性期の患者さんの歩行機能測定や血管内機能測定を含めた身体機能評価を行っています。また、在宅でできる運動も指導しています。リクリエーション性をもたせて体育館で一緒に運動する集団運動教室にも力を入れています。

自己管理をさせる工夫

しかし、退院直後は自主的に行うようですが、安定するとリハビリテーションを続けるのはなかなか大変なことです。ゆえに、慢性期の患者さんのリハビリテ―ション継続&再発予防に対するモチベーションを保つ工夫の一つとして、内蔵脂肪を簡単に測定できる「リアルスキャン」があります。当院は全国で最初に導入しました。(CTは被爆するので頻繁には取れませんが)これは身体に負担もなく、外来で簡単に測定できます。何と言ってもその場で測定でき、視覚的に内臓脂肪の増減が把握できるので自分が頑張った成果が一目瞭然なのです!「成果が自分でわかる」これは患者さんの努力の源ですから、一番大事なことです。

15分程度で簡単に測定できる「血管内機能測定」も行っています。血管内機能は動脈硬化の早期の段階から低下していきます。逆にかなり進んだ動脈硬化の人でも運動など「身体にいいこと」をすると回復します。スクリーニングだけでなくて機能の向上も示されるので、これも頑張った努力の可視化と言っています。

また、食事管理や減量が必要になった人、再喫煙者、薬を飲みきれない人への自己管理を指導しています。血圧や体重を管理することで改善できるセルフケアは再発防止に大変注目されています。