研修医の方へ

循環器内科を選んだ理由

生死に直面した場面で救命できる医者になりたくて循環器内科を選びました。あんなに苦しんでいらっしゃった患者さまが治療により治って歩いて帰れるのです。助けられるという自信をつけるには、心臓のことがある程度わかっていればクリアできると思いました。治療して助かった患者さんが歩いて帰れることは喜ばしいことです。

物心がついたころにはすでに研究に向いていたのかもしれません。夏休みの自由研究だった花びらをすりつぶして作った寒天ゲルの上に、1円玉と10円玉を電池につないだ電極に置くと、色とりどりな輪ができた。不思議だったし面白かった。-「研究するなら、医師かな?」と山形大学へ進む。山形大学時代、循環器内科へ進む時に教授から基礎研究を勧められました。病棟で重症心不全患者さんを診ているうちに「なぜここまで悪化するのか?」と疑問を抱いた。教科書には納得のいく説明は載っていない。これは研究するしかない…世界でも類を見ない画期的なデータが得られたが残念なことにイタリアのチームに先を越されてしまいました。基礎ではラットの培養心筋細胞や人の血管内皮細胞の実験を行いました。
北里大学に移って驚いたのは患者さまの多さ。研究をしないのは申し訳ない!とまたひたすら研究をしました。そしてアメリカで「血管内皮細胞における酸化ストレスの働き」をテーマとして研究留学をしました。と、女性として研究を続けられている場が循環器内科ですね。結果論ですが~

他の班に比べて女性の割合が多いと思います。カテーテル治療を生涯続けていくのは身体的にも厳しいという考えも少なからずあります。ここに勤務している女医さんたちは、循環器専門医の資格を持ちながら、各自の経験を活かした循環器の様々な職務に携わっています。世の中の循環器患者の9割は慢性期の落ち着いた人で、カテーテル治療の一部、急性期患者はごく一部です。慢性期をいかに安定させるか、再発が多い心不全だからこそ予防の重要さを実感し、日々精進しています。

当大学では、基礎研究やバイオ細胞を使った研究も基礎の教室ではなく循環器内科の医局で行います。大学院生は、循環器内科の外来や検査、当直を手伝いながら研究をするのでハードですが、臨床から遠ざかる期間がないので、それは逆に利点だと思います。臨床と基礎はどちらが欠けてもいい結果に繋がりません。大学院生には、教科書を書き換えるくらい新しいコンセプトを見つけなさいと指導しています。

東條 美奈子

医療衛生学部 教授