研究トピックス

2018年06月

TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)

講師・虚血班 目黒 健太郎

 

2016年2月より北里大学病院で、TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)が始まりました。
ここでは、大動脈弁狭窄症に対する新しい治療法であるTAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)について説明します。

大動脈弁狭窄症について

心臓は全身に血液を送るポンプの役割を担っていますが、その送り出した血液がまた心臓に戻らないように、心臓の出口の所に逆流防止弁がついていて、その逆流防止弁を大動脈弁といいます。この大動脈弁が変性し、固くなってしまった結果拡がらなくなった状態が大動脈弁狭窄症といいます。原因の多くは加齢による変性で、80歳以上の高齢者のおよそ3%の方が発症するといわれています。

症状は動いた時の息切れや、胸の痛み、下肢のむくみや横になると息苦しいといった心不全の症状が現れます。弁の狭さは自然と改善することはなく進行する一方なので、症状が現れると、数年以内に命にかかわったり、入退院を繰り返すために生活の質が落ちて、体力も落ちてしまうようになるため、必ず治療が必要です。

治療法

弁が変性しカルシウムがついて固くなった状態で、機械的に広がらない状態なので、内服で改善することはとても困難です。そのため胸を開いて行う外科的大動脈弁置換術が標準的な治療法とされていました。しかし胸を開き、心臓をとめて手術を行うため、高齢者やもともと体力の落ちている方、併存疾患を多く抱えている方などでは、手術に伴う危険性が高く、大動脈弁狭窄症で症状のある患者さんすべてに行う事が出来ているわけではありませんでした。そこで2003年にヨーロッパでTAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)が新しく始まり、日本でも2013年から行われるようになりました。現在日本で使える機器(デバイス)はエドワーズ社製Sapien3弁とメドトロニック社製CoreValveの2種類があります。

エドワーズ社製 Sapien3弁 留置イメージ
メドトロニック社製EvolutR弁 留置イメージ

これらのウシやブタの心膜からつくられた弁を縫い付けた金属からなるステントを大動脈弁の位置に留置します。かしめた状態で5-6mm程度の太さとなりますが、その管を下肢の血管、鎖骨下動脈や心尖部から入れていきます。

治療方針の決定

胸を開けて行う外科的大動脈弁置換術が良いか、TAVIが良いか、患者さんごとに最適な治療法を提供するために北里大学のハートチームで議論を重ねた上で治療方針を決定します。ハートチームは循環器内科、心臓血管外科、麻酔科に加え、診療放射線技師、看護師、診療工学技士、理学療法士を含めたチームで、患者さんの体力を含めた評価を行います。現在、TAVIはハートチームを有する、経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会により認定を受けた施設のみで可能です。

治療の実際

ハイブリッド手術室

ハイブリッド手術室 TAVIは手術室の中にある、全身麻酔下に透視装置を用いる事のできるハイブリッド手術室で行います。

術後

小さな創で済む場合がほとんどです。翌日には高齢者であってもリハビリテーションを開始します。特に高齢者はカテーテル治療とはいえ、体力の落ちる事もありますので、リハビリテーションセンターでリハビリを行い、体力の回復を確認して退院となります。

北里大学心臓リハビリテーションセンター