循環器内科 岸原 淳
みなさまお元気にお過ごしでしょうか。
相変わらず活発に活動を続けているEP班から学会報告です。
2016年6月8日~11日、南仏ニースに於いてCardiostim 2016が開催されました。
2年に一度ニースで開催される由緒ある学会で、循環器内科を志した頃から参加を夢見ておりましたが、今回ついにポスター発表の機会を得ましたので、勇んで渡仏して参りました。
帰国後の時差ボケによる被害を最小限に食い止めたいという守りの姿勢のため、往路復路共に深夜便を選択した結果、2泊5日の強行軍となりました。(写真1)
写真1:会場前にて![]() |
ヨーロッパはデバイス先進国で、本邦未承認の新しい機器が既に実臨床のデータをたくさん出しているため、未来にタイムトリップしたような錯覚に陥ります。
まずはリードレスペースメーカーです。(写真2)これは本邦でも治験が開始されております。読んで字の如く、リードを持たないペースメーカーです。この中に電池や電極が内蔵されているのです。現行のペースメーカーと大差無い良好な成績を収めており、これから汎用される可能性が秘められています。
次に左心耳閉鎖デバイスです。(写真3)心房細動という不整脈が起きると左心耳に血栓が形成され、それにより脳梗塞が引き起こされるため、抗凝固療法が必要となるわけですが、そもそも左心耳を閉じてしまおうという発想の元に誕生したデバイスです。これはかなり良い成績が出てきており、将来的には心房細動のアブレーションを行い、一期的に左心耳も閉鎖して抗凝固療法を短期間で終了できることも夢ではないようです。
写真2:リードレスペースメーカー![]() |
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アブレーション関連では、Rhythmiaという新しい3D mapping systemが出てきました。現在はCARTOとEnsiteの2大巨頭で進んでいる3Dの世界ですが、これは10分間に2万ポイント以上の点を取れる、超多点mappingが可能なため、今までは同定困難であったリエントリー性頻拍の回路同定に一役買う可能性大です。
自分はというと、念願のポスター発表において、さまざまな国のドクターと議論を深めて参りました。今回はケースレポートでしたが、次回はもっと大きな臨床研究をテーマにして発表したいものだと思いました。(写真4)
日頃の自分へのご褒美?という事で、少々観光もしてみました。ニースは地中海に面しており6月上旬ながら海岸で日光浴を楽しむ人多数でした。太陽は燦々と輝き、完全なリゾート気分です。鷹巣村の一角であるエズからの眺めはご覧の通り。(写真5)もう帰国したくない!と思わせられた瞬間でした。いつも北里循環器をご指導いただいている、日本デバイス治療研究所の中島博先生とは夕食までご一緒させて頂き、英気を養うには十分すぎる一時を過ごすことが出来ました。
写真4:ポスター発表~中島先生と共に~![]() |
![]() 写真5:南仏のきらめき |
この学会で得た経験とやる気を同僚と分かち合い、さらなるEP班、そして北里大学循環器内科の発展に繋げたいと思いを新たにすることが出来ました。
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