医局長のつぶやき

2023年03月

大学院時代の思い出

大学院生活を振り返って

医療系研究科博士課程4年 朝倉 清史

この度、北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し、学位を取得することができました。この場をお借りしてご報告させていただくとともに、大学院生活を振り返ってみたいと思います。
私が大学院への進学を考えたきっかけは、医師3年目で北里大学メディカルセンターに勤務していた時に経験した症例にあります。後に大学院でもご指導いただく南先生が、北里大学メディカルセンターに光干渉断層法 (optical coherence tomography: OCT) のレクチャーにいらしてくださいました。その際に私が経験した症例について、case reportを書いてみてはどうかとご提案をいただきました。自分にできるだろうかと不安はありましたが、チャレンジしてみたいという気持ちで取り組みました。初めてのcase reportを自分なりに書いてみて南先生にお送りし、Wordの体裁から全てご指導いただいたことは今でも覚えています。その後、幸いJACC: Cardiovascular Interventionsにacceptされた時には、形になった喜びと何とも言えない達成感がありました。
このような経緯から研究にも興味を持ち始め、大学院への進学を決めました。大学院では虚血班に所属し、入学を待たずにデータ収集などで研究に関わらせていただきました。そして「OCTを用いた中性脂肪値と冠動脈プラーク性状の関係の検討」というテーマで、自分の研究を開始することができました。初めての統計解析では時に禁忌を犯し、厳しいご指導をいただくこともありましたが、なんとか有望な結果を出すことができました。その結果を持って論文作成に取りかかるも、過不足なく論理的な説明をすることに苦戦しました。根気のいる作業で長い時間を要しましたが、今では有意義で楽しい時間であったと感じています。推敲を重ね完成させた「Impact of triglyceride levels on plaque characteristics in patients with coronary artery disease」がInternational Journal of Cardiologyにacceptされ、学位を取得することができました。

試行錯誤したビデオライブ撮影(様々な経験の1つ)

また、論文作成とともに、海外学会にも挑戦致しました。コロナ禍のためAHAやACCはオンライン参加でしたが、2022年にバルセロナで開催されたESCには現地参加することができました。初めてのESCは、その規模に圧倒され緊張しましたが、現地で発表できたことはとても良い経験になりました。

初めて現地参加したESC

このように大学院生活では、これまでに出会わなかった様々な経験をすることができました。常に何かに追われながらも、同期や先輩・後輩にも恵まれ、非常に楽しい日々でした。そして、医学の発展に微力ながらも貢献できているような充実感を味わうことができました。終わってしまうのが惜しいですが、大学院で得た知識や研究者としての目線を持ち、これからも臨床医療・医学研究に従事していきたいです。

研修医時代から切磋琢磨した同期 (左:2016年、右:2023年)

最後になりましたが、阿古潤哉教授、南尚賢先生を始め、これまでに多くのご指導をいただきました先生方に厚く御礼申し上げます。また、時に迷惑をかけながらも支えてくれた家族に感謝します。まだまだ未熟者ではありますが、今後ともよろしくお願い致します。

ご指導いただきました南先生との1枚

 

大学院生活を振り返って

医療系研究科博士課程4年 齋藤大樹

この度、北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し、学位を取得いたしましたので、この場をお借りしてご報告させていただきます。
私が大学院に入学したのは卒後5年目でした。卒後3-4年目に大和市立病院へ出向し、循環器内科医として働くうちに自分の知識や能力が不足していることを痛感するとともに、循環器内科領域の奥深さに興味を持ち、是非研究を通してさらなる知識と研鑽を積みたいと考え大学院への進学を決めました。専門領域の選択には、大学生時代からずっと苦手意識を感じていた不整脈を克服したいという思い、また研修医や出向中にお世話になった不整脈班の先生方への強い憧れもあり、不整脈を専攻することに致しました。
大学院1年では大学病院の病棟医・サブチーフとして臨床経験を積みながら、院生としての研究や学会発表を手探りながら開始致しました。大学病院の多忙な臨床業務に加え、慣れない研究や発表を行うという生活は身体的にも精神的にもかなりつらく、何度も挫折しそうになりましたが、沢山の先生方に御指導・励ましを頂きながら、大学院1年生を乗り越えることができました。今振り返ってもこの一年間が人生の中で最もつらい一年間だったように思いますがその中で培った経験や知識、また仲間との絆は今でも日々の生活の糧となっております。

名古屋での学会中の一コマ。
みんなでひつまぶし。
恒例の病棟会。
毎回盛り上がりました。

そして大学院2年生になり本格的な大学院生活が始まると、不整脈チームとしてカテーテルアブレーション、デバイス治療を中心に臨床に参加しつつ、本格的に臨床研究と基礎実験、学会発表を行っていく生活が中心になりました。それらすべての分野において、それまでの自分の知識がいかに浅はかで無力かを思い知らされ、研究も思うようにいかないことばかりで、何度も挫折しそうになりましたが、指導医の先生方の厳しくも愛のある御指導を頂き、また、院生の先輩方の励ましや御指導を沢山いただくことでなんとか乗り越えることができました。そして頂く課題や発表の機会をこなしていくことで自然と成長していく手ごたえを自分でも感じることができ、非常に有意義な日々であったように思います。そして自分の成長を感じるほど、上級医の先生方や指導医の先生方の偉大さをより強く感じるようになり、改めて非常に恵まれた環境で学べているということを実感する日々でした。
大学院の研究生活においては、英語論文として臨床研究と症例報告でacceptを頂くことができ、国際学会を含めて全13演題の学会発表を経験することができました。院生生活の大半がコロナ渦でありましたため、web発表が多かったことが残念な点ではありますが、それでも研究や発表を通じて多くの経験や学びを得ることができ、ひとつひとつの課題や研究をこなすごとに多くの喜びを感じることができました。特に、臨床研究の論文がacceptされたときの感動は今後一生忘れることはないと思います。acceptに至る経緯も直前まで一朝一夕ではなかったため、その喜びはひとしおでした。

日本不整脈心電学会学術集会にて。
松浦先生、村山先生と。
日本循環器学会学術集会にて。

こうして大学院の生活を振り返ってみると私は指導医の先生方、同期や後輩に本当に恵まれて過ごした4年間でした。大学院入学を迷ったことも、4年間の間に何度も辞めようと思ったこともありましたが、最後までやり遂げることができ、光栄なことに卒業時に優秀論文賞に選出いただくこともでき、本当にこれまで頑張ってきてよかったと思います。
私は卒業後は大学病院で病棟業務に従事させて頂きます。この4年間で得た経験や知識を最大限に生かし、より質の高い医療を提供できるように一層精進するとともに研究や学会発表にも是非積極的に参加していければと考えております。
最後になりますが、お忙しい中多くの御指導を頂きました阿古教授、庭野先生、深谷先生、岸原先生、及川先生、石末先生、中村先生、多くの先輩方、つらいときに励ましあった同期、支えてくれた後輩、その他関わってくださった全ての方々に改めて感謝を申し上げます。これからも精進してまいりますので、今後とも引き続きの御指導・御鞭撻の程宜しくお願い致します。

大学院同期3人で。 不整脈班の恩師の先生方と。