医局長のつぶやき

2017年02月

大学院の4年間

大学院生活を終えて
循環器内科 飯田 祐一郎

無事なんとか学位を取得し大学院の4年間について書くに振り返りたいと思います。大学院1年目の半年間は救急科・心臓血管外科のローテーションをさせて頂き、3年目の出向先とはまた違う3次救急での循環器疾患を直に臨床経験し、心臓血管外科では心臓および大血管のダイナミックかつ繊細な手術を目の当たりに経験しました。さらに、東病院での二次予防外来や当院での心臓リハビリテーションを経験しました。循環器疾患の超急性期から慢性期までにかけて経験できたことは、今思い返すと研究に際して非常に重要でした。ローテンションの間に改めて感じたことは、臨床診療の中では経験は重要であること、さらにその裏付けとなるエビデンスの重要性を超急性期から慢性のどの場面でも感じることができました。このすべての場面でも常にエビデンスが重要であり、その根拠となる研究の重要性を感じる機会となりました。
その後、大学院で研究をするにあたり、私は主に心筋症の臨床研究を行いました。心筋症は循環器内科に入局してから臨床の場で重症な心不全の症例に出会い、悩むことが多かった領域であり、興味をもった分野でした。大学院の生活の中で、研究を考え、論文を調べ、また考える、この繰り返しをしていくほどに疑問は多くなり、奥の深さを思い知らされる日々でした。また、研究の分野で各方面の先生方の発表や論文を拝見させていただき、興味深く、さらに研究に対する情熱や患者さんに対する真摯な姿勢など研究者としてかつ医師として気づかされる日々でした。
そんな日々の中で、さまざまな学会での臨床研究発表をさせていただきました。発表をすることよって、また新たな先生方と知り合え、提案や疑問を投げかけて頂き、さらに刺激を受けることができ、新たな発想を得ることができることができました。また、研究がうまくいかないことも経験をし、研究の難しさをおぼえました。学会発表の中で、特に印象深かったのはESC Congress 2016です。2演題投稿し、poster発表とRapid Fire の2つに採択されました。とてもうれしかった反面、Rapid Fireと見て大炎上(?) と肝が冷えました。発表はなんとか終えることができましたが、会場での雰囲気や他の発表者の演題などをみて、もっと頑張らければと刺激をうけリベンジを決意したローマでの時間でした。
大学院の生活で感じたことは、常に疑問を持ち、そして調べて研究をし、発表し、議論をし、論文として書き残すことは自分自身の知識や経験を増やしていくことにつながるということであり、さらには臨床診療に生き、よりよい治療を行うことにつながるため、大学院を卒業して以降はより精進しまいります。

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大学院生活を終えて
循環器内科 五十嵐 建

この度博士号を取得させて頂き、無事大学院生活を終えることとなりました。
私の大学院生活は北里大学病院循環器内科で病棟医として2年間、北里大学メディカルセンターへ1年間の出向の後にスタートしました。私が大学院へ進学した動機は当初、先輩の先生方からの勧めや循環器内科の同期がみな進学するからといった不純なもので、自発的なものではありませんでした。このような高い志がないまま大学院生活が始まり、研究に取り掛かりましたが、まず自分で何をすればよいのか、何を調べればよいのかということもわからず、研究に必須のデータの収集、実験、統計解析といったこれまで経験したことがないことに戸惑う日々でした。しかし、私の直接の指導教官である庭野慎一先生、庭野裕恵先生はこのような私にも、丁寧に根気強く御指導して下さり何とか研究を行ってくることができました。御二人の御尽力により、数多くの学会発表をさせて頂く機会を得ました。中でも国内の循環器系の最高峰である日本循環器学会総会や自身では初の国際学会であるEuropean Society of Cardiologyでの学会発表は、自分にとって一生の宝となりました。また、医学雑誌に英文論文を掲載することができ、無事に学位論文を仕上げることができたのも御二人の御尽力と大学院の先輩の方々の助言があったからこそと思います。自分の力だけではこのような大学院生活を送ることはできなかったと思います。この場をお借りして私に御指導下さりました皆様に御礼申し上げます。
4月から私は大学病院を離れ沼津市立病院へ出向しますが、この大学院生活で得たことを臨床に生かして、今後も循環器内科診療に邁進していきたいと思います。4年間本当にありがとうございました。

i1cESC(ローマ)で庭野慎一先生と。
i2c学会での不整脈班と他病院の不整脈の先生方との飲み会。

 

大学院生活を振り返って
循環器内科 石末 成哉

本年度をもって大学院卒業・博士課程を修了するにあたり、ここに御報告します。
私は不整脈を専門分野として、大学院生活を送ってきましたが、不整脈に興味をもった過去のエピソードがあります。循環器内科に入局した初期のころ、動悸を主訴に救急搬送されてきた症例がありました。夜間帯であり一人で対処せざるを得ない状況でした。心電図では、Narrow QRS & Regular tachycardiaであり発作性上室頻拍と診断しましたが、さてどうする…。教科書ではATP投与・Ca拮抗薬・頸動脈洞マッサージなどが書いてありましたが、まず頸動脈洞マッサージやってみるかと…。頻拍が止まった…。ビギナーズラックなのか頻拍は無事に停止し、患者さんに感謝されました。また、そこに居合わせた医療スタッフもさすが循環器内科!と、健闘を讃えてくれました。それがきっかけで、不整脈への薬物治療だけでなくアブレーションにも興味を持つようになりました。そんな紆余曲折があり、不整脈の扉を叩くともに、大学院生活では、アブレーションなどの臨床診療への参加だけでなく、臨床研究・心筋障害モデルラットを使った基礎研究に励みました。基礎研究では、心筋障害モデルラットを用いたDPP-4阻害剤の心筋保護作用の検討を行いました。学生時代の実験以来のピペット操作を行い、教科書での単語としか知らなかった形質転換・蛋白電気泳動・PCR法やウェスタンブロット法など、細胞生物学的な実験手技を経験しました。上手く結果出ればいいのですが、予想した結果と違った場合のプロセスが非常に困難でした。手技による失敗なのか?それが正しい結果だったのか?結果・過程を振り返り次のステップに進んでいく、その考え方は自分にとって有意義と感じられしました。臨床診療ではEPSをじっくり勉強することができ、肺静脈隔離術やPSVTなどのアブレーションを経験させていただきました。研修医や病棟医のころは、EPSで行われていることを漠然と見ていただけだったため、流れてくる心内の電気情報に関しては、上の空でした。実際に、心電図解析ディスプレイ・刺激装置に触れると、処理する情報の多さにFreezeしてしまう日々でした。EPS当日は冷や汗の連続でしたが、深谷先生を筆頭にアブレーションチームの先生方からの熱く、時に厳しい御指導を頂いたお陰で進歩することができました。また、デバイス植え込み術にも参加し、当院でのS-ICD植え込みの初回症例にも携わることができました。臨床研究ではBrugada症候群・J波症候群の特徴と並存疾患に関する検討や持続性心房細動に対するリズム治療の有効性の検討を行いました。日々の診療で疑問となる白黒はっきりしない状況などの解明の手助けとなる事が臨床研究の重要性であり、今後の臨床診療に自分が臨床研究で得たヒントを生かすことができればと思いました。また、大学院卒業後も、臨床上の様々疑問を抽出し、それに対して解明の一助となる研究を行うことができればと思っています。
この4年間の大学院生活で国内だけではなく海外学会での発表機会を多く得られました。海外学会では、シカゴ・ロンドン・ローマ・韓国に出かけることができ、それぞれにおいて心が踊らされ、まだまだ自分に足りないことが多すぎると実感させられる日々でした英文論文2本・和文2本の論文掲載に至り、優秀学位論文賞を頂くことができ大変光栄に思います。指導教官である阿古教授・庭野慎一先生・庭野裕恵先生をはじめ、臨床診療に関しては深谷先生・佐藤先生・岸原先生など沢山の先生方からの熱い指導の御尽力で、このような功績を築くことができました。御指導を頂いた先生方・大学院生の同僚たちに感謝の意を表して、この文章の締めとします。あっという間の4年間をありがとうございました。

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(左)2014年AHA in Chicago poster session 庭野先生と
(右)2015年ESC in London poster session 岸原先生・庭野先生夫妻と

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(左)2016年ESC in Roma poster session 阿古先生と
(右)2016年ESC in Roma 妻とチビッ子も一緒にコロッセオを歩きました

 

大学院の4年間を振り返って
循環器内科 難波 早弥香

この度、無事に学位を取得することができました。4年間の大学院生活を振り返り、この場を借りてご報告させて頂きます。
私は2011年に循環器内科へ入局し、同年静岡市立清水病院へ出向し、2012年大学病院の病棟医を経て2013年に大学院へ進学しました。病棟医時代は寝ても覚めても臨床にべったりの生活で、特に大学病院では2012年から体外式VAD (補助人工心臓)を検討する症例が増え、新しい治療や循環装置を目の前にし、受け持ち医として非常に刺激を受けたのを覚えています。そんな私は大学院へ進学することはほとんど考えておらず、臨床一筋で行こうと思っていました。しかし、今後のビジョンを考えていたときに、当時虚血動脈硬化班 (現フランス、パスツール研究所留学中)の先輩であった北里梨紗先生に「臨床は歳をとっても大学でなくてもできるけど、研究は大学にいるうちしかできないよ!!やりたいことを追究・探究できるチャンスだよ!」とアドバイスを頂き、大学院への進学を決めました。もともと虚血分野に興味があり、また北里大学東病院の二次予防センターで外来をさせて頂いた際に二次予防への面白さも感じていたため、阿古潤哉教授、東條美奈子准教授率いる虚血動脈硬化班へ入ることを決定しました。
大学院の1年目は、外来において前向き研究のエンロールをしながら救急循環器、東病院二次予防センター、心臓血管外科で勉強させて頂きました。まだ研究自体は本腰ではなかったものの、臨床と研究を両立する大変さを実感した1年でした。2年目以降は研究メインの生活となりましたが、そこで初めてたくさんの壁にぶち当たりました。症例をエンロールしたものの何をどう進めればいいかわからない、統計解析がわからない、英語がわからない・・・そして、東條美奈子先生からご教授頂くアドバイスが自分の知識レベルでは理解ができない。。。
日々、同チームである私の先輩同期の箸方先生 (現NTT東日本関東病院出向中)や留学中の北里梨紗先生にはPCを通して、また心不全班の池田先生など優秀な先輩方に教えて頂きながらなんとか過ごしていた時期もありました。また、2013年後半からは、箸方先生とともに、医療衛生学部教授で現北里大学学長の小林弘祐先生と准教授の小久保謙一先生率いる臨床工学チームと、共同研究として豚の虚血モデルの作成にも携わりました。東北大学へ見学に行き方法を学び、開始当初は試行錯誤ではありましたが動物実験で基礎研究の一端を担えたことが大変貴重な経験となりました。
大学院在学中は様々な学会にも参加しました。中でも思い出に残っているのは、ESC 2014 in BarcelonaとESC 2015 in Londonです。Barcelonaは初めての海外学会で何よりも英語が不安でしたが、一緒に行ったメンバーたちと観光や宴も楽しみ、とても思い出に残りました。翌年のLondonは何となく慣れてきたもののやはりかなり緊張しましたが、何とか無事に終え、古城巡りをしてきました。二つの学会で発表させていただいた、動脈硬化・血管内皮関連の研究において、大学院在学中に論文を2本通すことができました。
また、私事ではありますが、大学院4年目には妊娠・出産を経験し、先生方や大学院の同期・後輩にはたくさんご迷惑をおかけしましたが、私の体調を優先し外来や当直等もすぐにご配慮を頂きまして、本当にありがとうございました。身重でしたが何とか学位を取得できたのも、先生方とこのあたたかい医局の支えがあってこそのものと実感しております。
最後になりましたが、阿古潤哉教授、東條美奈子准教授のお二人には、こんな英語もできない、研究アイディアすらもでてこないボンクラであった私を見捨てずに最後まで温かく御指導してくださり、感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。また、虚血班の先生方、同期、先輩後輩の皆様にも、この場を借りで御礼申し上げます。今後は、この4年間で得ることが出来た研究側から臨床をみるという視点を生かして、日々の臨床に携わっていきたいと思います。

na1cCVIT 2014 in 名古屋

初めてのカテーテル関連の発表で緊張しました。

na2cESC 2014 in Barcelona
na3cESC 2015 in London

London郊外のStonehengeへ行ったところ、ばったり和泉元教授にお会いし、ランチをご一緒させて頂きました。

 

大学院生活を振り返って
循環器内科 藤石 珠美

この度無事学位を取得し、4年間の大学院生活を終えることとなりました。
卒業にあたり、この大学院生活を振り返ってみると、長いようであっという間だったように感じます。大学院に進むにあたって、循環器の中でもさらに何をやっていくかということを考えた時に、私は循環器の中でも一番苦手だった不整脈をみられるようになりたいという気持ちで不整脈班に入る決意をしました。大学院入学後、1年間の出向を終えて大学に戻ってきてから、いよいよ本格的に研究が始まりました。不整脈班の研究は、臨床研究と基礎研究の2つからなり、私は臨床研究としてICDの不適切作動低減のための至適設定に関する研究を、基礎研究は心臓の線維芽細胞にDPP-4阻害薬負荷を行い、その反応に関する研究を行いました。いざ研究を始めて思ったことですが、データを集める事の大変さ、そして統計処理の仕方など、頭を抱えることがたくさんありました。統計については、本当に難しいことが多く、最後まで好きにはなれませんでしたが(笑)、この大学院生活がなければ、統計に関する勉強も積極的にしなかったような気がします。そして基礎研究については、細胞実験をやりましたが、細胞実験をするのは医学部の学生時代ぶりで、マイクロピペットを使うのも久しぶり、分子生物の知識もほぼ頭の片隅にあって忘れかけているような状況で、一人夜遅くまで実験室にこもって細胞の数を数えたりしたことは、今となってはいい思い出です。実験もなかなかうまくいかず、失敗もたくさん重ね、いい結果が得られなかったことの方が多かったですが、vitroレベルでの考え方などを学ぶことができたのは非常によかったと思います。そしてこのように行ってきた研究成果を様々な学会で発表させていただく機会にも恵まれました。やはり大学院時代の一番の思い出とも言えますが、AHAで2回も発表させていただけたのは、自分にとっても非常にいい経験になりました。
そして最後になりましたが、この大学院の4年間は、阿古教授をはじめ、庭野慎一先生、庭野裕恵先生、深谷先生、村上先生、他にもたくさんの先生方に指導して頂き、有意義な期間を過ごすことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。大学院で学んだことを今後の臨床に活かし、頑張っていきたいと思います。

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AHA in 2015 @ Orlando

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AHA in 2016 @ New Orleans

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OrlandoのDisney worldで

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Orlandで発表後の食事会

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New Orleansで発表後の食事会

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New Orleansでは昼も夜もJazzに酔いしれました♪

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EP班での食事会

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不整脈学会 in 206 @札幌