循環器内科 藤吉 和博
2017年3月17日-19日にかけてワシントンDCで開催された、ACC (American College of Cardiology).17でポスター発表をさせて頂きましたのでご報告致します。
ACCは、AHA (American Heart Association)、ESC (The European Society of Cardiology)、そして日循 (日本循環器学会)と並ぶ4大学術集会の1つですが、その場で発表できることは、我々循環器内科医にとって非常に名誉なことであります。光栄なことに、昨年はESC@ローマで研究発表の機会を頂き、今年はACC@ワシントンDCでも発表させて頂けました。会場はワシントンDC中心部、ホワイトハウスや国会議事堂、大使館の並びにあるコンベンションセンターで、東京でいう永田町でしょうか、華はないけど実はある、そんな土地柄であります故、学会を十分に堪能することができました(写真1)。
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今年度の学会の目玉は何と言っても高コレステロール血症治療薬であるPCSK9の心血管疾患に対する長期成績を示したFOURIER試験と、私個人的には心血管と脳の関連に興味があり、同PCSK9による認知機能への影響を示したEBBINGHAUS試験の速報でした。どちらの発表も、結果のグラフが提示された瞬間、記者会見のようなフラッシュの嵐でありました。詳細につきましては口演と同時に論文も世界中に公開されているのであしからず。さて、そのような大舞台の横で、メンター南先生ご引率のもと、エース柿崎先生はステントカバーレッジ関連の研究(写真2)、私はコレステロールクリスタル関連の研究(写真3)を発表させて頂きました。
![]() 写真2. 柿崎ポスター前 |
![]() 写真3. 藤吉ポスター前 |
実際、ポスター前にかなり緊張しておりましたが、会場全体は割とフランクな雰囲気であり、海外施設の先生方がコーヒー片手にふらっと立ち寄り、うちとけた相談の場といった感じでした。無事、発表のお役目時間をのりきってまいりました。発表後のご褒美について少々。3月中旬にもかかわらず雪が降り積もる中、ホワイトハウス(写真4)、スミソニアン博物館群、ジョージタウン、日本より少し早い桜の花見等、充実した観光ができました。アメリカでの食事は好みが分かれるとこですが、個人的には世界各国の料理が食べられるため好きな方でした(写真5)。飛行機含めアメリカワシントンDCでの滞在1週間、大きな事故なく、無事帰国の途につけました。
![]() 写真4. ホワイトハウス前 |
![]() 写真5. 打ち上げ |
余談ではありますが、発表に至るまで経過はまさに幸運の連続でした。今回発表させて頂いた研究内容は、一昨年に東條大輝先生より発想を受け賜りました。当初は小規模な勉強会での症例報告でした。たまたま映り込んでいたクリスタルについての質疑応答で、無知だった私に助け舟を出して頂いたことは忘れもしません。その後「気になるから少し調べてみよう!」との一言、これを真にセレンディピティというのでしょうか。昨年にはMGH (Massachusetts General Hospital)に所属されていた南賢尚先生が帰国され、OCTの解析や発表に至るまでのご指導を賜りました。さらに、本年には阿古潤哉教授による論文および抄録作成の講義を賜りました。大学院生として1番必要である論文の実践的な書き方をご指導賜りました。われわれ若手の間では「世界一受けたい授業」と冠しており、この授業を拝聴できるのは当医局員の特権であります。極めつけですが、本年度のACCは日循と日程が重なるという前代未聞の珍事がおこり、本邦からの演題登録が少ない中、我ら若手こそ海外発表ができる千載一遇の好機でありました。
最後に、ACC.17の発表にあたり多くの先生方にご協力頂きました。この場をお借りし深く御礼申し上げます。この貴重な経験を日常臨床や研究に活かすと共に、4大大会制覇および論文化を目標に励みたいと思います。今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します。
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