医局長のつぶやき

2017年08月

2017年7月 APSC(Asian Pacific Society of Cardiology)2017 in Singapore

医療系研究科博士課程2年 西成田 亮

今回7月13日~15日までSingaporeで開催されましたAPSCでポスター発表させていただきましたので、報告させていただきます。
APSC(アジア太平洋心臓病学会)は、本年で21回目。アジア太平洋地域における心臓血管病の予防、治療、循環器病学の進歩を基本理念にした国際学会です。ACC/AHA/ESC等の大規模な学術大会と比較すると、歴史も浅く、規模もそれほど大きくありませんでしたが、それでも初の海外学会発表とあって、発表準備から現地行動含め非常に有意義な経験となりました。
Singaporeへのフライトは7時間前後。時差は1時間と体力的にそこまで削られず、難なく23時頃Changi空港へ到着。四季はなく、常夏で、湿気の多いと聞くSingaporeですが、噂通り空港を出た瞬間、中のクーラーで冷えきった体にじめっとした生ぬるい風を感じました。タクシーで30分程度走ると、見えてきましたマリーナベイサンズ。ビル屋上に輝く船は圧巻です。その後宿泊ホテルのマンダリンオリエンタルホテルへ到着。と思っていましたが、何かが違う??マリーナマンダリンホテル?そうです。マンダリン違い。。。聞いたところによると、マンダリンホテルはSingaporeに3つ存在するそうです。脇汗かきながら、地図を片手になんとか15分程で到着。初日終了。

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マリーナベイ
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ベイサイドの様子

今回当学会へは、阿古教授と南先生、私が参加しました。APSCの会場は、有名ホテルが連なるSingapore中心地に位置する、Suntec Convention Centreで行われました(写真)。
宿泊ホテルから直結でなんとも便利。会場内では、多数のposter/case presentationに加え、SymposiumやPlenary sessionも構成されていました。各session間のbreak timeには軽食やコーヒーが振舞われ、柔らかい雰囲気の中で各々が議論を交えたり、発表を聞いていました。虚血に限らず、Structureや心不全、不整脈と多岐にわたる内容が盛り込まれ、1つ1つ理解するのに精一杯でした。日本からの発表はそう多くない印象で、他国施設の発表を通して、どのようなことを考えているのか実感できたのは国際学会ならではだと思います。せっかく来たのだからと、メドトロニックのブースに飛び込み、leadless pacemakerやinserted cardiac monitorの製品説明を受けながら、speaking/listening能力不足を痛感していました。

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Suntec Convention Centre
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会場入り口
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ポスター会場
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break time

3日目は発表日で、各ポスター前に座長なる人がまわってきて、軽いpresentationと質疑応答をなんとかこなしました。私は、3剤抗血栓薬(asprin, prasugrel, Warfarin)使用下で生じた稀な橈骨動脈仮性動脈瘤に対して、抗血小板剤薬剤中止と保存的加療で軽快に至った症例提示させていただきました(写真)。なぜ不整脈班の私が、このタイミングで虚血関連の発表をするのかという突っ込みは、なしです。なんにせよ発表することはいいことだと思っていますので。。。。南先生は、CAG上不明瞭であったStumplessのCTOに対して、OCTガイド下でstumpが明瞭に観察でき、さらにrecanalizationに至った症例を発表されました。

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Dr. Minami poster
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教授、南先生と
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poster presentation

Singaporeへの滞在期間は3日間で、この銀座と横浜みなとみらいを合わせたような、海に面した高級商店街と夜景、グルメを堪能するには十分でした。中心街だけであれば、自分の足と10SGDあれば、おそらく事足りるのでは(タクシーの運転手が言うには、日本と比べてタクシー運賃は非常に安いようです)。初日は、阿古教授と南先生とともに、Singaporeの地元グルメ、高級グルメに舌鼓(写真)。肉骨茶(バクテー)は塩野先生おすすめで、見た目以上に柔らかく本当に美味でした。チリクラブは、決して安くはありませんが、代表的な絶品料理です。そして、もちろん世界三大○○名所と言われる、マーライオン像も見て参りました。Typical Japaneseとして、ここは外せません(写真)。口から水が出ていてよかったです。

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マーライオン像前
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肉骨茶(バクテー)と地元料理
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ベイサイドで
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チリクラブ

2日目の夜は、南先生のご友人と夕食をご一緒させていただきました。マレー語と英語と日本語のトリリンガルで、4,5年Singaporeで働いているそうです。旅行専門雑誌「じゃらん=散歩」はマレー語というトリビアをいただきました。また、おそらく自分たちだけでは歩かなかったであろう湾沿いのグルメ街を案内してもらい、そこでまさかの茨城地ビール(常陸野ネストビール)と遭遇しました(写真)。締めくくりに、マリーナベイサンズの対岸に位置するフラトンベイホテルのrooftop bar「Lantern」(Singaporeへ行かれる方おすすめです)で夜景とシンガポール・スリング(カクテル)を満喫しました。その場で、阿古教授や小室先生(東大教授)、赤坂先生(和歌山県立医大)含めた日本の循環器医学を牽引する偉大な先生方と席をご一緒させていただいたことが、私にとって思いもよらぬ非常に幸運なことでした(写真はとれませんでした)。話される内容はスケールが大きく、アジアの中心としての日本を熱く語られており、ほろ酔いと緊張の中でもとても刺激的でした。日数に比して非常に内容の濃い学会スケジュールでありましたが、翌日大きなトラブルなく無事帰国の途につくことができました。

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常陸野ネストビール
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rooftop bar「Lantern」

今回、海外での発表の場をいただき、発表の経験値というだけでなく、英語の必要性や論文の読み書き重要性に関して、さらなるモチベーションを得ることができました。定期的に海外に身を置くことは、上記を維持するうえで大切だと思いますし、また同時に海外の異文化に触れることができるよい機会でもあります。不在の中、ご迷惑をかけしました先生方、発表にあたり御指導いただきました南先生を始め多くの先生方に深く感謝を申し上げます。今後もさらに精進して参りますので、何卒御指導御鞭撻の程よろしくお願いいたします。