循環器内科学 助教 岸原 淳
大学院を卒業してから日常診療に忙殺される毎日。日本を飛び出して不整脈について語り合う機会が欲しいなぁとウズウズしていた2014年春のこと。日本不整脈心電学会(JHRS)とBIOTRONIKが公募する’BIOTRONIK International Fellows Program (IFP)’をJHRSのホームページで発見した。早速応募したものの敢え無く落選。やはり自分には実績も経験も不足しているしなぁと意気消沈しつつも、このままではいけないと国内学会で発表を重ね、いくつかの論文も投稿し、2016年に再チャレンジ。そして幸運の女神は舞い降りたのだった。
この幸運を共に味わったのは、シャイだが内に大志を秘めた近畿大学小竹康仁先生。そしてNew York育ちで我々の強力なサポーター小林絢さん。素晴らしい仲間に巡り合い、最高の時を過ごしたのだった。(写真1, 2)
![]() 写真1:ハドソン川沿いをRunする3人 |
![]() 写真2:食も満喫 |
2016年10月から2017年6月にかけて、計5回、各3日間の日程で行われるBIOTRONIK IFP。世界各国から集った不整脈を志す若い医師(EP fellows)と、有名な講師を前に少人数制のレクチャーとその後の語らいの日々。
2016年10月、11月、2017年4月はNew York Manhattanにある’BIO center’。BIOTRONIK USA自慢の眺望を誇る講義室とウェットラボを用いて、一度はお話ししてみたかったLegend達とディスカッションを行った。(写真3-7,)
2017年2月はPhiladelphia。ここではPennsylvania大学のEP fellowに頼み込んで、アブレーションを見学した。(写真8,9,)
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写真3, 4,:NY ManhattanのBIO center。素晴らしい眺望と講義室。
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![]() 写真6 : Prof. Joseph Brugadaにcoved type ST上昇の 心電図にサインを頂いた。 |
![]() 写真 7: Prof. Joseph Brugadaとdiscussion。 |
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写真8,9,:U-Pennカテ室とProf. Frank Marchlinski。
2017年6月の最終回ドイツはBerlin。BIOTRONIK本社工場見学と、オーナーのProf. Dr. Max Schaldach Jr.とのレセプション。若く活力のあるオーナーと気さくにシャンパンをご一緒させてもらった。(写真10-12,)
レクチャーの内容は、不整脈の基礎からアブレーション、デバイスまで網羅され、知的欲求を大いに満たしてくれた。
さらに大きな収穫は世界から集ったEP fellow達との語らいだった。(写真13-20,)それぞれの医療環境や文化が異なる中、同じ不整脈という領域を志す者同士の交流は、生涯の宝となった。
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写真10-12,:BIOTRONIK本社見学と、オーナーとのレセプション
![]() 写真13:Indiana大学のMark Shen、台湾出身の彼とは多くを語り合った |
![]() 写真14:Sidney Westmead病院のPierre QianとBonn大学のRobert Malotki。 |
![]() 写真15 : U-PennのJiandu Yang、Ling Kuo。APHRS2017での再会を約束。 |
![]() 写真16 : CHU DijonのMathieu Montoy |
![]() 写真17 : U-PennのJackson Liang。 留学中の林達哉先生と共に施設見学をサポートしてれた。 |
![]() 写真 18: Mount Sinaiに留学中の榎本先生。 |
![]() 写真19 : Stanfordに留学中の当院循環器で 同期の亀田良先生。 |
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不整脈領域のみならず、日本の医療レベルは世界有数だ。わざわざ外国まで行って学ぶことはそう多くないかもしれない。しかし、日本の外にはかくも大きく多様な文化が存在すること、そこで自分たちと同様に頑張っている人達がいること。これを体験するだけで大きな価値がある。
小さな心内電位を見つつも、広い視野を忘れない。これがこのIFP最大の収穫だと思う。
最後に、私の不在中のサポートを快く引き受けて頂いた同僚の皆様に感謝しつつ、筆をおかせてもらう。
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