医局長のつぶやき

2017年11月

2017年11月 第37回日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会総会 in 名古屋

医療系研究科博士課程4年 甲斐田 豊二

今回、11月3日~4日まで名古屋で開催されました第37回日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会総会で発表させていただき、YIA (Young Investigator’s Award)で最優秀賞を受賞しましたので、報告させていただきます。
YIA (Young Investigator’s Award)とは、主に若手研究者(一般的に40歳未満)の育成を目的として各学会で設けている学会賞のことです。ほとんどの学会は1年に1回、学術集会や総会を行います。参加者はその総会で自分の研究をプレゼンテーションしたり、他人の研究発表を聞いたり、第一人者の先生の発表を聞いたりして、最新の知見に触れることができます。学会の規模などで総会の全発表数は異なりますが、多数の発表の中で、今後の医療の発展に有用と思われる発表に学会賞は授与されます。そのため、この賞をいただくことは大変名誉なことで、研究が仕事の大学院生は、これを目指して日々頑張っていると言っても過言ではありません。今回、その名誉ある学会賞を受賞することができ、非常に有意義な経験となりました。

 k1a 学会会場

今回当学会へは、上司の小板橋先生と私で参加してきました。一昨年より毎年参加しており、今回で3回目でした。今年は、名古屋駅から徒歩圏内の会場で行われました。(写真)
私の発表は、初日(11月3日)の午前中でした。YIA候補となった発表が7演題で、7番目が私の発表でした。私の研究テーマは『心臓サルコイドーシス』という厚生労働省が難病指定している希少な病気で、欧米人に比較して日本人に特に多い病気です。心臓の病気は突然死など生命に関わることが多いのですが、本疾患も例外ではありません。心臓サルコイドーシスは、診断をつけることが難しく、医学の発達した現代でもかなり病気が進行してから診断がつくこともしばしばあります。そのため、早期発見、早期診断がこの病気の大きな目標となっています。今回の発表も、早期発見、早期診断のために日常診療においてどうすれば良いかと言ったテーマで発表してきました。普段の学会ではあまり緊張しない私ですが、今回は緊張しました。しかし、なんとか発表や質疑応答を終えることができました。手ごたえはありましたが、結果発表は翌日(11月4日)の夕方の表彰式までわかりません。落ち着かない気持ちで残りの学会発表を聞くこととなりました。

 k2a 餅つきイベント

初日の夜間には、学会主催の情報交換会があり、小板橋先生と参加しました。サルコイドーシスという病気は、心臓のほか、肺、皮膚、眼、神経などにも起こる病気のため、日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会には循環器内科のほか、呼吸器内科、神経内科、皮膚科や眼科など多彩な診療科の先生が参加しています。しかし専門性の強い学会で、顔見知りも多く、餅つきイベント(写真)などもあり、楽しく過ごすことが出来ました。また第一人者の先生方とも直接話をすることができ、今後の研究のモチベーションをさらに上げることができました。
2日目も朝から学会に参加しました。午前中に小板橋先生の発表を聞き、午後は肺サルコイドーシスやサルコイドーシスの遺伝子解析など普段接することの少ない分野の知識を得ることができました。また偶然、現在は呼吸器内科で活躍している出身大学の同級生や後輩の発表も聞くことができ、有意義な時間を過ごすことができました。そしていよいよ表彰式です。奨励賞から順に発表され、残すは3演題。優秀賞2人と最優秀賞1人です。優秀賞2人が名前を呼ばれ、私はまだ名前を呼ばれません。最優秀賞で名前を呼ばれた時はうれしかったです。途中で次の会議のため帰京していた上司、小板橋先生へ喜びのメールを送りつつ、無事に学会を終えることが出来ました。

 k3a 表彰式  k4a 表彰状

今回、YIAで最優秀賞を受賞することができ、第一人者の先生方から論文にするようにと直接言葉をかけていただき、さらなるモチベーションを得ることができました。不在の中、ご迷惑をかけしました先生方、いつも指導いただいております小板橋先生、猪又先生、論文の際にご迷惑をおかけしている南先生、マイペースな私を温かく見守っていただいております阿古教授をはじめ多くの先生方に深く感謝を申し上げます。日本人に多い病気であることから、北里大学から世界へ向けて発信できると思っています。今後もさらに精進し、学会発表や論文執筆を通じて、心臓サルコイドーシスについて発信を続けていく所存ですので、今後とも御指導御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。