医局長のつぶやき

2018年03月

大学院の4年間

大学院生活を終えての感想
医療系研究科博士課程4年 甲斐田 豊二

この度、無事に学位を取得することができ、4年間の大学院生生活を終えることになりました。そこで今回はこの場をお借りして、大学院生活を振り返ってみたいと思います。
私にとって大学院4年間は、正直あっという間に過ぎ去った4年間でした。もともと、大学院への進学は考えておりませんでしたが、後期研修中の恩師に『大学院に行くと、視野が変わる。ダマされたと思って進学してみたらどうか。』と言われ、進学を決めました。ただ臨床から離れることに不安もあり、初期臨床研修終了後、4年間の臨床経験を経た後に大学院へ入学しました。また大学院1年生の間は大学院生でありながら出向の形で市中病院にて臨床に従事し、医師8年目に研究生活がはじまり、実質3年間の大学院生活でした。
研究生活がはじまりましたが、『何を研究すれば良いのか、そもそも研究ってどうすれば良いのだろうか?』といったことからのスタートでした。私の指導に当たっていただきました小板橋先生に、まずはCase reportを執筆してみたらどうか?とのアドバイスを受け、後期研修で出向していた沼津市立病院で経験した心臓サルコイドーシスの症例の臨床経過をまとめてみることにしました。残念ながら諸事情でこの症例ではCase reportを執筆することはできませんでしたが、これがきっかけとなり、心臓サルコイドーシスという疾患の多様性、希少ゆえに未知の部分が多いことなどに興味を抱き、大学院では心臓サルコイドーシスをメインテーマとして研究を行いました。サルコイドーシスと関連の多い呼吸器内科、皮膚科、眼科などの他診療科や、心臓サルコイドーシスが完全房室ブロックなどの不整脈と関連することが多いため、循環器内科の中でも不整脈班など他の専門グループなどとも連携し、ご協力いただいたおかげで、私の心臓サルコイドーシスの研究を進めることができました。これは各診療科や他専門グループとの垣根が低く、相談しやすい北里大学だからこそできたことと考えており、感謝しかありません。ありがとうございました。
また私は大学院生活の中で沢山の学会発表の機会を得る事ができ、その経験は本当に自分の自信となりました。希少疾患であるため、症例数が少なく、残念ながら海外学会で発表する機会はありませんでしたが、いままで当教室からは一度も発表していないサルコイドーシス学会で初めて発表しました。この学会は3年連続で発表の機会をいただき、3年目にはYIAで最優秀賞をいただき、自信につながりました。また小さな学会ではありますが、真剣にこの希少疾患のことを追及している研究者に毎年会うことができ、刺激を受けることが出来ました。また自分の研究を論文にまとめることの重要性も学ぶことができ、たくさんの貴重な経験をすることができました。

写真:(左) サルコイドーシス学会での発表、(右) YIA最優秀賞の表彰式 (2017年)

最後になりましたが、研究の指導や論文作成などで、多くの先生方にお世話になりました。阿古教授、小板橋先生、猪又先生、南先生には特にお世話になりました。改めて深く御礼申し上げます。
しかしまだ、海外学会での発表や、サルコイドーシス研究の結果を論文にまとめることなど卒業後にも課題を残しております。引き続き、臨床を頑張りつつ、残っている課題も一つ一つクリアし、今後の北里大学医学部循環器内科学教室に少しでも貢献できるように精進して参ります。本当にありがとうございました。また今後ともよろしくお願いいたします。

 

大学院生活を振り返って
医療系研究科博士課程4年 中村 洋範

「Learn from yesterday, live for today, hope for tomorrow. The important thing is not to stop questioning.」アルバート・アインシュタイン

このたび、大学院博士課程を卒業することができましたので、感謝の気持ちを込め大学院生活について振り返らせていただこうかと思います。
大学院に入ったのは私が医者5年目、29歳の時でした。市立清水病院の出向から大学に戻ってきて病棟業務、放射線ローテ、東病院ローテを4か月ずつ回っただけ、、、臨床経験もまだまだ少ないのに、学生に戻って大丈夫だろうか、と不安な気持ちで大学院に入ったのを覚えています。庭野先生、深谷先生のご指導のもと、不整脈チームとして大学院生活が始まりました。不整脈チームに行くことは、循環器内科に入局するときから決めていました。恩師である弓削先生が不整脈班であったこと、研修医の際にどの科をローテしても受け持ち患者が「脈ありVT」になりとにかく困惑したことが主な理由です。なんとなく始まった大学院生活は想像していたよりもはるかに厳しいものでした。臨床研究、基礎研究、カテーテルアブレーション、学会発表、論文投稿…すべて初めての経験、何もわかりませんでした。どのようにデータを集めて統計処理をすればいいのだろうか、イヌの実験で結果がうまく出ない、細胞が育たないのはなんでだろうか、心内電位の読み方が全く分からない、アブカテ操作が思ったようにできない、英語口述の学会発表、ましてや質疑応答なんてできるのか、そんな不安な英語力で論文なんて書ける気がしない。何度も壁にぶつかりました。解決策はありませんでした。ただただ、目の前の仕事や、目の前のひととの出会い、ささいなひと時を大切にしようと心がけました。失敗したら必ず振り返って自分なりの答えをだすようにしました。飲み会での失敗も同様、飲み会翌日は記憶がなくなってしまうことが時折ありましたので、バラバラになった記憶のパーツを他人から集め、ひとり反省会をしました。時間はかかりましたが、だんだんできることが増えてきました。自分の無知さを知り、そのたびに焦り、自分以外の人々の凄さを実感しました。関わってくれた人々をもっと大切に思うようになりました。実験の結果がうまくいき、はじめて国際学会に通ったとき、はじめてCTI線上アブレーションや肺静脈隔離に成功したとき、論文が通ったとき、この上ない充実感があったのを覚えています。
阿古潤哉教授、庭野慎一先生、裕恵先生のご指導のおかげで、在学中に英文論文1本、和文1本の掲載に至ることができました。学位論文のテーマは臨床研究では「慢性心不全に関する予後規定因子の検討」を行いました。具体的には、低左心機能症例における慢性心不全患者の予後規定因子としてのトロポニンに関する研究、慢性心房細動症例における予後規定因子といてのFCLの研究を行いました。基礎研究では「心房細動モデル犬における催不整脈性と心筋リモデリングに対するGLP-1アナログ製剤の作用の研究」をさせて頂きました。
深谷先生をはじめ、佐藤陽先生、岸原先生、及川先生には日々のアブレーションのご指導を頂きました。また、アブレーションのみならず、研究会や学会などを通じて不整脈の奥深さ、面白さ、そして不整脈専門医としての人生の生き方などをたくさん語り、ともに笑うことができる、とても幸せな時間でした。
大学院は卒業となりますが、院生生活に得られた経験や考え方を今後の臨床、人生に活かしていきます。関わって下さったすべての方々に感謝の意を込めて、このつぶやきを終えたいと思います。
ありがとうございました。

AHA2017 in Anaheim

ESC2016 in Rome

JHRS

 

大学院生の4年間の生活を終えて
医療系研究科博士課程4年 藤田 鉄平

大学院生の心不全研究班に入り、最初に与えられた研究テーマは心拍数でした。100人ほどの患者データを拾い、当初持っていた仮説が正しいどうかを検証したところ、全くもっていい結果が出てこない。どうしたものかと思いながら、上司である猪又先生に報告すると、「藤田。俺はな、よくデータをぼーっと眺めているぞ。そうすると、なにか法則が見えてくるもんだぞ。なにも無いかもしれないけどな (笑)」と言われたことを今でも覚えています。
自分の研究スタイルは、おそらくこの時に出来上がったのではないかと思います。とにかくデータを集めては、それを眺め、法則を探していく。そしてその法則に合わないデータの特徴を探しては、新たな法則を探していく。なんとも非効率的なスタイルだなと、自分でも思ってしまいますし、結局なにも法則を見つけることが出来なかったケースもたくさんありました。しかしそんな苦労をしながらも、結果をまとめ、ヨーロッパの海外学会をはじめとした、様々な学会で発表できたことは非常にうれしいものでもありました。
院生の期間中は、まるで漫画家のように、常に新たな研究のネタを探しており、正直辛い時期がありましたが、その分、多くの学会へ参加することができました。その中で、特に印象に残っているのは2017年の心筋症学会でのYIAの発表のテーマです。ちょうど、この学会の1年ほど前に、九州大学の先生が、心臓の生理学と血行動態についての講演を開いており、そこへ参加することにしました。その講演の内容は、ほとんど理解することが出来ない内容でしたが、生理学をマスターすれば、すべての心不全をコントロールできるのではないか!?と思ってしまうほど強い衝撃を受けた講演でした。それと同時に、心不全の管理が好きで循環器に入ったにもかかわらず、心臓の生理学のことを全然知らないのだなと気づかされました。そこから大学医学部の図書館に引きこもっては生理学の本を読み、周りの院生の仲間が最新の論文を読みこむ中、自分は1980年代の論文を読むといった毎日を送るようになりました。その中で作り上げた研究を、心筋症学会で発表し、優秀賞として選んでもらえたのは非常にうれしい出来事でした。
さらに同年の2017年4月からの半年間、成人性先天性心疾患の勉強のために九州大学の坂本先生のもとへ行くことが出来、本当に充実した院生生活を送ることができました。
そして院生生活の最後のイベントである卒業式では、医療研究科の総代表として壇上に上がり、大きなスクリーンにアップになって映ることも出来ました。
最後に、阿古教授、猪又教授、そして心不全班の先生方には大変お世話になりました。先生方のご指導のおかげで、無事院生を卒業し、博士号をとることが出来ました。本当にありがとうございました。

 

新博士のつぶやき
医療系研究科博士課程4年 藤吉 和博

2018年3月に北里大学大学院医療系研究科を卒業し学位、博士号を頂きましたので、ご報告させて頂きます(Figure 1)。

Figure 1. 大学院学位授与式@東京国際フォーラム

大学院4年間は、本当にあっと言う間でした。しかし、思い返せば語り尽くせぬ充実した4年間でした。在籍以前から多岐多方面に御迷惑をおかけしておりますが、人知れぬ苦労や涙、不平不満は胸に秘め、今日に至る栄光の軌跡をつづりたいと思います。
まずは、大学院1年生時、北里大学東病院・北里大学メディカルセンター・北里大学病院のローテーション、まさに北里三昧の1年間、臨床の研鑽を続けさせて頂きました。大学院2年生時、開始時には研究のきっかけもない状態、まさに路頭をさまよっている私に、東條美奈子先生が研究デスクと研究のきっかけを授けてくれました。研究の計画・実施・報告に至るまでご指導を頂きました。感謝の言葉以外ございません。さらに、東條大輝先生からは症例報告と第2の研究のきっかけを授けて頂きました。症例報告は発表から時間はかかりましたが、無事に論文化することができました。大学院3年生、研究生活の夜明けが参ります。コレステロールクリスタルについて2016年8月ESC@ローマinイタリアでポスター発表させて頂きました(Figure 2)。クリスタルはさらに南尚賢先生に研磨して頂き、2017年3月ACC@ワシントンDC inアメリカでポスター発表させて頂きました(Figure 3)。大学院4年生、いよいよ研究が開花します。もはや海外発表が恒例の如く、2017年8月心臓リハビリテーションと認知機能の関連についてESC@バルセロナinスペインでポスター発表させて頂きました(Figure 4)。さらに、コレステロールクリスタルはアウトカムまで発展することができ2018年3月ACC@オーランドinアメリカでポスター発表させて頂きました(Figure 5)。結果、主要海外学会4回も発表させて頂くことができました。また、研究報告および症例報告も無事英語論文化することができました。学位授与後、虚血動脈硬化班若手先生方に送り出して頂き(Figure 7)、2018年1月より大和市立病院循環器内科に出向させて頂いております(Figure 8)。2018年4月以降も引き続き大和市立病院でお世話になります。北里魂を胸に、世のため人のため、今後も臨床と研究を頑張っていきたいと思います。今後ともよろしくお願い致します。

Figure 2. ESCポスター発表with東條大輝先生@ローマ

Figure 3. ACCポスター発表with南尚賢先生@ワシントンDC

Figure 4. ESCポスター発表@バルセロナ

Figure 5. ACC会場with阿古潤哉教授、橋本拓弥先生@オーランド

Figure 6. 壮行会with虚血動脈硬化班若手先生方。

Figure 7. 歓迎会with大和市立病院循環器内科先生方。

最後になりましたが、これまでに多くのご指導を頂きました北里大学医学部循環器内科学 阿古潤哉教授、東條大輝講師、下浜孝郎講師、目黒健太郎講師、南尚賢診療講師、医療衛生学部 東條美奈子准教授、北里大学東病院心臓リハビリテーション室スタッフおよび心臓二次予防センタースタッフ方々、虚血動脈硬化班先生方々に厚くそして深く御礼申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します。