医局長のつぶやき

2019年03月

4年間の思い出

大学院生活を振り返って

医療系研究科博士課程4年 橋本 拓弥

この度、無事に学位を取得することができ、大学院博士課程を卒業することができました。そこでこの場をお借りして、大学院生活について振り返らせていただこうかと思います。
私は2014年4月、医師8年目で北里大学循環器内科に入局させていただきました。もともと臨床、特にカテーテルなどの手技の経験をさらに積み重ねていきたいと考えていたため、大学院への進学は考えておりませんでした。しかし、阿古教授や下浜先生から、『大学院での研究や論文を書くことで、臨床だけ続けていては得られないことを経験でき、今後の臨床にも活かせる』と勧められ、大学院進学を決意しました。
大学院1年目から出向ではなく大学で研究に取り組ませていただきました。最初は自分なりの研究テーマが見つからず、データを集めてはボツになり、形にならないものばかりでした。カテーテル治療に結びつく何かを研究したいと思っていた時、阿古教授から多施設のACSレジストリーのデータを使って研究してみないかとご提案いただきました。今までせいぜい数百人のデータしか扱ったことがなく、また論文も書いたことがなかった私は、統計や英語に四苦八苦しながら、なんとか海外での学会発表までこぎつけ、その後論文にすることもできました。3年目には、早発性冠動脈疾患の原因のひとつである家族性コレステロール血症(FH)に着目し、FH患者に多く認められるアキレス腱肥厚の研究をさせていただきました。この研究も海外学会で発表する機会をいただき、発表時にはAHA NEWSから取材され、記事にもしていただきました。4年目は大和市立病院に出向となり、臨床の経験を積ませていただきながら、大学院時代の成果をまとめることができました。
この4年間の大学院生活でESC, AHA, ACCの3つの大きな海外の循環器学会すべてで発表の機会を得ることができました。また論文も4本掲載に至り、卒業時には優秀学位論文賞を頂くことができ大変光栄に思います。
最後になりましたが、これまでに多くのご指導を頂きました阿古潤哉教授、東條大輝先生、下浜孝郎先生、目黒健太郎先生、南尚賢先生、医療衛生学部 東條美奈子准教授、そして虚血動脈硬化班先生方々に厚く御礼申し上げます。大学院で学んだことを今後の臨床に活かし、頑張っていきたいと思います。

ESC 2016 at Rome

ACC 2018 at Orlando

AHA 2018 at chicago

 

大学院生活を終えて

医療系研究科博士課程4年 柿﨑 良太

2019年3月に北里大学大学院博士課程を卒業することができましたので、感謝の気持ちを込めてご報告させていただきます。
わたしは卒後5年目から大学院に入学し、虚血班に所属しました。学位論文のテーマは、ステント留置後の新生内膜に関するOCTを用いた研究でした。初めての研究でなにをしたらよいかわからないわたしに、東條大輝先生がくださったアイデアです。南先生からご指導をいただき、「OCTの画像を眺めて、どういう印象をもったか」というのが最初のステップでした。プラークの違いで新生内膜を比較するはずが、わたしは「正常な部分では…」というズレた報告をしてしまいました。しかしこれがけがの功名となって、南先生が結果に賛同してくださり、研究のメインリザルトになったのです。自分が出した結果が研究になることに感動し、日常臨床で持った印象や疑問の大切さを学びました。幸いにしてこの研究は、ACC 2017にポスター発表で採択され、Coronary Artery Diseaseに論文が掲載されました。また、大学院からは優秀学位論文賞をいただきました。
大学院入学前に心臓血管外科の先生からご指導いただいたことがきっかけで、心内血流に関する研究にも取り組みました。左室内の血流パターンやそれによって生じるエネルギー損失と、心不全治療の効果との関連をみたものです。このテーマからは、症例報告がInternational Journal of Cardiologyに採択され、APSC 2018で学会発表させていただきました。また、在学中に4編の症例報告を執筆させていただきました。症例報告とはいえその一つ一つに苦労があり、学ぶことが多くありました。研究以外にも、虚血班としてCVIT地方会のTokyo Live、OCTワークショップ、データベースの作成、構造的心疾患の治療に携わらせていただき、貴重な経験をすることができました。恵まれた環境と多くの支えのおかげで、このたび大学院から大村賞をいただき、見に余る思いです。4月からは大和市立病院に出向しますが、大学院で得た経験を活かして臨床に取り組み、少しずつでもアウトプットし続けることを目標に頑張ります。
最後になりましたが、阿古教授、南先生、虚血班の先生方をはじめ、これまで研究や論文執筆を指導してくださった先生方に深く感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

 

① ACC 2017にて、南先生と

② EuroPCR 2017にて、エッフェル塔の前で

 

③ APSC 2018にて、南先生と

④ Tokyo Liveにて、東條先生、目黒先生と

⑤ 学位記授与式、橋本先生、根本先生と

 

大学院生活を振り返って

医療系研究科博士課程4年 根本 照世志

この度、北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し、学位を取得いたしましたので、この場をお借りしてご報告させていただきます。
私は初期研修を修了し、循環器内科医として2年間臨床に従事した後、本学の大学院に進学するという道を選択しました。まだまだ臨床医としての知識も経験も足りない中で、大学院に進み、臨床から離れることに不安を抱きながら、循環器内科学の根幹とも言える虚血性心疾患・動脈硬化グループの一員として大学院生活をスタートしたのを覚えています。私が学位を取得した研究テーマは動脈硬化に関するもので、血管内皮機能と冠動脈疾患の重症度との関連についてです。臨床研究の組み立て方、統計解析、英語での学会発表、論文投稿など何もかもが初めての経験であり、何度も壁にぶつかり四苦八苦しながら研究を進めていきました。患者さんの協力を得て早朝から病棟で行なった血管内皮機能の検査、一から学んだ統計解析、試行錯誤を繰り返しながら英語論文を書き上げたりと、壁にぶつかる度に研究に近道はないということを痛感させられました。時間はかかっても、目の前の問題に対して納得いくまで考察を重ね、一つ一つクリアしながら、少しずつ前進することを心がけました。その結果、在学中に心臓血管領域における主要国際学会である米国心臓病学会(AHA)で3本の演題を発表する機会をいただき、原著論文に関しては二本の英語論文の掲載に至りました。初めて国際学会に採択された時、推敲を繰り返した論文がようやく採択された時、言葉に表せないぐらい嬉しかったのを覚えています。振り返ってみればあっという間の大学院生活であり、決して平坦な道ではありませんでしたが、この3年間の研究漬けの日々は間違いなく自分の医師としてのキャリアにおいてかけがえのない財産になったと実感しています。これで私の大学院生としての生活は終わりますが、今後も臨床に従事しながら、この大学院生活で培った知識や経験を生かし、引き続き研究に取り組む所存です。
最後になりますが、本学循環器内科学 阿古潤哉教授、南尚賢診療講師、医療衛生学部 東條美奈子准教授を始め、お世話になりました先生方に厚く御礼申し上げます。

AHA 2017@Anaheim

学位授与式にて