医局長のつぶやき

2019年04月

第83回日本循環器学会学術集会に参加して

循環器内科学 助教 鍋田 健 (総合診療医学)

循環器内科の鍋田です。3月29日から31日に横浜にて行われた日本循環器学会学術集会に参加したのでこれを報告します。日本循環器学会学術集会は我々循環器内科にとって最大の学術集会であり、参加者は17000人を超え世界的にみてもヨーロッパのESC、アメリカのACCに次ぐ世界第3位の規模となっています。行われたパシフィコ横浜は国内最大規模の会議場ですが、それでも足りないのではと感じるくらいにどのブースも多くの参加者で賑わっていました。

写真1:会場のパシフィコ横浜・国立大ホール。ちょうど桜も満開でした。

本会へはほぼ毎年参加しておりますが、今年は一味も二味も違いました。その一つが本学術集会では日本循環器学会の情報部会が中心となり、大会の一部発表内容に関してtwitterでの情報提供が行われました。海外学会では頻繁に行われていますが、国内の大会でここまで大規模に行ったのは初の試みでした。今回は縁があり私も情報部会の公式サポーターとして初心者ツイッタラーではありましたが情報発信を行いました(写真2)。

写真2:広報部会専属サポーターの証。横にいるのは禁煙の啓蒙活動に勤しむすわん君です。

私は心筋症や心臓MRI、CTなどの心臓画像診断を専門にしていることもあり、初日のmultimodality imagingのセッションから聴講しました。本会は国外からの参加者も多く、半分は英語セッションです。ハードルが高いと思う方もいるかもしれませんが、皆さんわかりやすい英語で話してくれるので意外となんとかなります。なかなか欧米の先生の話を直接聞くことがないので、各検査への考え方の違いなど非常に興味深く聞くことができました。Twitterでの発信も並行して行っていたのですが、発表聞きながら発信は意外と難しいことに気が付き慣れるまでは時間がかかっていました。発信に集中すると肝心の発表を聞くことができなかったりも…普段から情報発信している人たちの凄さを改めて思い知りました。
昼以降は主に当院からの発表を聴講にポスター会場へ移動しました。初日は大学院の白川先生・大木先生・矢崎先生の発表がありました(写真3.4)。ポスター発表聴講後は再度画像診断セッションへ。このセッションはCTやMRIの新規技術に関してのものです。画像診断分野の進歩は本当に著しく、多くの技術が生まれては消えていきます。まとまった研究会も決して多くはないためこのようなセッションは貴重でした。

写真3:白川先生発表ポスター、筆者は中央で広報部員をアピール
写真4:矢崎先生ポスター。初の英語発表でした。

二日目は土曜日ということもあり参加人数もさらに増加し、より盛況となりました。私も多施設研究の会議などもあり、朝一番から会に参加しました。2日目は大学院生の荒川先生のポスター発表(写真5)。またコメディカルセッションではアンギオ室担当の看護師さんである玉川さんの発表がありました(写真6)。また午後は当院から唯一口演発表である池田先生の発表がありました(写真7)。池田先生発表のセッションは超満員で、立ち見はもちろん部屋の外にモニターが設置され部屋の外に聴講者があふれるほどでした。

写真5:荒川先生ポスター、指導医の深谷先生と
写真6:カテーテル室玉川さん発表。コメディカルセッションの採択も大変なのですがそこを突破しての発表です。
写真7. 池田先生の口演。質疑応答含め非常に盛り上がりました。

夕方には当院の阿古教授が座長を担当された海外留学セミナーが開催されました(写真8)。これは今後海外留学を目指す医師を対象に行われました。当院の南先生を含め、欧米に留学経験をした多くの先生が参加され、その先生とお酒を飲みながら直接話す機会を得られるという貴重な場所でした。さらには本大会に招待されている欧米の先生も参加されており、普段では絶対話せないような各国の主要施設のトップにあたる方々とお話することができました。私もESCの前presidentであるオランダ・ライデン大学のprofessor J.J. Baxとお話することができました(写真9)。もともと英語があまりできないかつ手が震えるほどの極度の緊張で最初はほとんど英語を聞き取れなかったのですが、最終的には少しお話し連絡先を教えていただくことができました。

写真8 海外留学ネットワーキングセミナー

阿古先生の挨拶。堅苦しい話はなしでどんどん交流してくださいといった内容でした。

写真9 Professor Baxとのお話。筆者はここでも広報部員をアピールしてますね…

そして終了後は医局メンバーで食事会に。留学から帰国されたばかりのプリンス亀田先生、横浜旭中央病院に移られた佐藤陽先生や学生にもかかわらず循環器への熱い想いのあまり学会に参加してくれた佐藤敏朗君、北里出身で今東京大学にいる松原先生も参加してくれて楽しい時間を過ごしました(写真10)。

写真10. 食事会の様子。

最終日は自分の発表がありました。ホントに最後のセッションで少し人も減っていましたが、座長の榊原記念病院高見澤先生の上手な仕切りもあり議論は非常に盛り上がりました。私は心サルコイドーシスという心筋症に関する発表をしたのですが、同様の研究をする方々と情報交換を行うことができました(写真11)。

写真11. 筆者(右)のポスター発表、共同演者の池田先生と

これまでは仕事等の都合もあり日本循環器学会にずっと参加することは難しかったのですが、今回は初めて全日程に参加することができました。また情報部会の広報部員でもあり普段はあまり参加しないようなタイプのセッションにも参加したのですが、それが新鮮で刺激になりました。同時に自分の英語力がまだまだであることを思い知り、来年は京都でAPSCと合同開催になるこの会にはもう少し英語力を高めて参加できるよう努力しようと心に誓いました。