医局長のつぶやき

2021年03月

大学院時代の思い出

大学院を卒業して

医療系研究科博士課程4年 荒川 雄紀

この度、北里大学院医療系研究科博士課程を修了し、無事学位を取得することができましたのでこの場をお借りしご報告させていただきます。
私が大学院に入学したのは卒後5年目になります。卒後2年目、初期研修の終わる頃に循環器内科医になることを決め、3~4年目は出向先の市中病院で循環器の臨床を中心に研修しました。循環器内科は内科の中でも忙しい科だと思いますが、自分の治療で患者さんがよくなり無事に退院する、自分のできることが増える、と忙しいながらも非常に楽しく仕事ができました。そして卒後5年目に大学院に入学と同時に大学病院に戻って参りました。
「つらくて辞めようと思った」医者になると誰もがそう思うことがある、とそれまで出会った多くの先輩方がおっしゃっていました。幸い私は卒後4年目まで医者を辞めたいと思うことはありませんでしたが、大学院に入り、はじめて辞めたいと思いました。研究とはいったい何なのか?何をしたらよいかわからず手探りの状態のスタートであり、自分が何のために研究するのかもよく分からず、つらかったからです。それまでガイドラインで勉強し診療してきましたが、英語論文を読み、学会などに行くとガイドラインには書いていない最先端の情報がたくさんあり、多くの先生方がエビデンスを発信している姿を見て、研究も医者の大事な仕事なのだと実感しました。それからは自身でも新たな情報を発信すべく、研究に打ち込むことができました。
学会参加は自身への刺激と勉強以外にも、みんなで世界の各地に行けるという楽しみもありました。特に2019年にパリで行われたESCでは、「ペースメーカが心内血流におよぼす影響」という研究テーマについて発表し、自身の学位論文とすることができました。ESCは5日間に渡り世界から循環器医が集まる大きな学会で、パリの街並みも相まってとても楽しく、強く記憶に残っています。
また大学病院では不整脈チームに所属し、カテーテルアブレーションを中心とする不整脈診療に従事させていただきました。研究と並行して参加したカテーテルアブレーションは、それまで触れたことのない新しい内容がたくさんで、勉強することも多く大変でしたが非常に楽しく充実した大学院生活を送ることができました。
大学院に入り研究と不整脈診療をはじめると、スタッフの先生方の背中はより大きく遠くに感じられました。そんな先生方に直接ご指導いただいた4年間は非常に恵まれた環境であったと実感しています。スタッフの先生方の背中に追いつけるよう、これからも臨床に、研究に、頑張っていきたいと思います。卒業する今となっては、大学院に入り本当によかったなと思いますし、後輩たちにも自信を持って大学院に入り不整脈班に入ることを勧めたいと思います。最後に、たくさんのご指導を頂きました庭野慎一先生、深谷先生、庭野裕恵先生、岸原先生、佐藤(陽)先生、及川先生、石末先生、大学院の先輩方、苦楽をともにした同期、後輩の皆様に感謝申し上げます。

(2019 ESC, Paris)

(不整脈班の先生方と)

(不整脈班の後輩と)

(循環器内科同期)

 

「4年間の大学院生活を終えて」

医療系研究科博士課程4年 桂 有智

この度、北里大学院医学系研究科博士課程を修了し、学位を取得しましたので、この場を借りてご報告させていただきます。
私が大学院に入学したのは卒後5年目になります。虚血班に所属し、院生1年目は研究より臨床メインの関連病院で仕事をさせていただいておりました。1年目は、研究って?論文って??という状態で、必死に臨床をやりながら国内の学会発表やCase report作成などを行っていました。ほとんど研究や統計を使いこなすレベルに到達せずに2年目に大学に戻りました。2年目からは、本格的に研究メインの生活となりました。しかし、研究のテーマはなかなか決まらず、右往左往したりもしましたが、OCTを用いた画像解析でのPCIの新しいステント拡張指標と臨床予後との関連といったテーマを与えられました。テーマは決まったのですが、Excel操作やデータ収集の方法、統計解析のやり方、プレゼンテーションのまとめ方など、予想通り全くわからない状態でした。指導医の南先生はもちろんの事、虚血班の先輩方には大変お世話になり、アドバイスをいただきました。いくらお礼をしても足りないくらいです。とてもゆっくりではありますが、少しずつできることが増えていきました。毎月行われる虚血班ラボミーティングの為に必死で勉強し、データを拾い、論文を読み、統計解析して、プレゼン資料を作りました。ミーティングでは怒られ指導を受けることが多かったですが、その中でも新しい気づきや、違う角度からの視点で物事をみること大切さを学ぶことができました。研究が少しずつ進み、3年目では循環器三大学会と呼ばれるESC、4年目にはAHAで発表することができました。特に印象に残っているのはESCで、投稿するとまさかの英語オーラル発表『Rapid fire session』に選ばれました。海外学会での発表は二度目でしたが、いかにも炎上しそうな名前の発表セッションに決まり、当初は嬉しさ1割、不安とプレッシャー9割でした。プレゼンテーションを作成するのに何度も南先生の指導を受け、英語発表の為に裏でコッソリとGABA(英会話教室)に通い始め、不安で英語発表経験のある先輩方に質問を浴びせて日々を過ごしました。ESC 2019はフランスのパリ開催で、非常に貴重な経験をさせていただきました。同期や先輩たちも沢山の演題発表があり、大人数での学会参加でした。また、北里先生がフランス留学中で、パリの案内をしていただきました。しかし、初日に行ったレストランで生ガキにあたり、数日間棒に振ったのは非常に苦い思い出です。発表当日までには何とか体調回復し、演題発表はしっかりと行うことができました。ESCを終えてから、南先生の多大なご指導をいただきながら論文執筆、論文投稿というまた非常に長く、忍耐のいる作業を行いました。「どんな論文でも必ず行きつく港がある」という言葉を胸に挫けず、投稿をつづけacceptされたときは言葉にならない喜びがありました。大学院生活を経て、学会の内容や勉強会、論文の中身が理解できる様になった事に加えて、日々の臨床においても見え方や景色が変わりました。それは大学院へいってよかったと思えることのひとつです。4年間の大学院生活を振り返ってみると、多くのことを学び、経験し、たくさんの人に助けられ、人間的に成長できた(はず)、充実した期間だったと思います。今春からは博士号を取得し、卒後9年目となりました。院生生活で学んだことを糧に、これまで以上に研究に臨床に打ち込んでいきたいと思います。
最後になりましたが、これまでに多くのご指導をいただきました阿古潤哉教授、下浜孝郎先生、目黒健太郎先生、南尚賢先生、虚血動脈硬化班先生方に厚く御礼申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

ESC2019 Rapid fire session

ESC2019 発表後、座長と南先生と

ESC2019 凱旋門前で

ESC2019 たくさん飲みました

ストラクチャー班で

同期のメンバーと

 

大学院生活を終えて

医療系研究科博士課程4年 加藤 彩美

この度、北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し、学位を取得いたしましたので、この場をお借りして御報告させていただくとともに、大学院生活を振り返ってみたいと思います。
私は医師5年目に大学院生1年生となりました。出向先である沼津市立病院から大学病院病棟に戻ってきた年です。大学病院での心疾患や治療法についていくのに精いっぱいで、日々臨床循環器について勉強の日々でした。2017年のつぶやきで成毛先生がご報告された海外転院搬送した植え込み型補助人工心臓の症例を経験することができました(写真1)。虚血性心疾患においても、南先生、目黒先生、東條先生のご指導のもと数多くのPCI症例を経験し、CVIT認定医を取得することができました。研究も並行して開始し、まずスライドの作り方、研究の仕方、統計の行い方などを南先生や虚血班の先輩方に教えていただきました。班を超えて心不全班、不整脈班の先生方にも多く助けていただきました。中々力足らずで研究は進みませんしたが、病棟チーフを行いながらも研究会で学位のテーマになりました運動を契機とした急性冠症候群の症例報告を行うことができました。
大学院2年目からは研究を中心とした生活となりました。プラークびらんによる急性冠症候群の引き金としての身体運動についての研究をまとめ、本研究についてACC 2019で発症することができました(写真2)。海外には学生時代に何度もいきましたが、初めて学会参加のために行くことができ、そして初めてのNew Orleans。とても思い出に残る学会になりました。そして症例報告のため神戸でのCVIT総会 2018、台北でのAPSC 2018(写真3)での発表を行うことができました。さらに2本の雑誌原稿を書くことができました。
少しずつ研究が軌道に乗り始めた大学院3年目でしたが、論文がacceptされる大変さを実感しました。多くの雑誌に投稿し、rejectされてもそこでいただいたアドバイスをもとに南先生に相談しながら修正し、多くの雑誌に投稿してはrejectされる日々。何とか3年生の最後に初めて論文を通すことができました。
最終学年としての大学院生4年となりますが、ご存じの通りCOVID-19の世界的な流行によりすべての学会がオンラインになりました。並行して行っておりました、プラークびらんと全身の動脈硬化についての研究をESC 2020での発表の機会を得ることができました。残念ながら開催地であるAmsterdamに行くことはできず、オンラインになってしまいました。本研究も大学院卒業直前に2本目の論文として、通すことができました。そして、臨床では目黒先生、橋本先生のご指導の下、Structure Heart Diseaseの治療(写真4)に参加し、数症例ではありますがTAVI治療を行うこともできました。
院生生活の最後にACC 2021にacceptすることができました。しかし、こちらもオンライン開催になり、残念ながらAtlantaに行くことはできません。現在発表に向け準備を引き続き行っております。そして論文としてご報告できるよう引き続き研究を続けていきたいと思っております。
こうして4年間の大学院生活を振り返ってみると、本当にいろいろなことがありました。良かったこと、反省すべきことも多々あり、充実した日々でした。「博士号を取ってからが勝負だ」という南先生のお言葉の通り、博士号をとったからこそできることを臨床現場のために役立てて参りたいと思います。最後になりますが、阿古潤哉教授、目黒診療講師、南尚賢診療講師を始め、お世話になりました先生方に厚く御礼申し上げます。

写真1

写真2

写真3

写真4

 

大学院生活を振り返って

医療系研究科博士課程4年 小林 周平

この度、北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し、学位を取得いたしましたので、この場を借りてご報告させていただきます。
私には大学院に進学する高尚な理由は特にありませんでした。当医局の先輩医師の多くは大学院を出られているため、入局者に敷かれたレールのようなものに乗り、とりあえず早々に博士を取得し、その中でやりたいことが見つかればいいな、くらいの気持ちで大学院に進学しました。通例では大学院に入るタイミングで、心不全と虚血性心疾患、不整脈という大きく三分野のどれを専門とするのか決めることが多く、私はその三分野の中で最も勉強を避けてきた不整脈を選択しました。それまで臨床でアブレーション治療に参加する機会が決して多いわけではなかったため(というか避けていた?)、EPSの何たるかも知らぬまま不整脈の世界に飛び込みました。大学院生活は、研究テーマのデータ収集方法や統計ソフトの使い方、統計学、電気生理学、アブレーション、基礎実験・・と新たに学ぶことが多く、日々こなすことで精一杯で、一日一日があっという間に過ぎ去っていきました。与えていただいた研究テーマでなかなか結果が出せなかったこともあり、なかなか辛い時間が続きました。院生生活の中期を過ぎた頃、深谷先生よりいただいた3Dマッピングシステムを用いたアブレーション間隔の研究がやっと軌道に乗り、不整脈学会やAHAで発表させていただきました。同研究は心房細動アブレーションの際に用いられる焼灼指標アブレーションインデックスを用いて肺静脈隔離を行う際、まだ報告が少なかったアブレーション間隔に関して検討したもので、心房細動治療の成功率に寄与し得るものです。この研究は主学術論文として完成させることができましたが、論文がacceptされたときの喜びは今でも鮮明に覚えています。このテーマが契機となり、アブレーションに関する知識が増え、他施設でのアブレーションに参加する機会もいただいたことでより経験を積むことができました。大学院に入り臨床から離れることに当然不安はあり、実際に多くのデバイスや新薬が数年のうちに登場しましたが、大学院生活は研究だけでなく、学会発表の経験、EPSやアブレーションに時間に費やすことができたため、進学当初の想像よりも大変有意義な時間だったと思います。卒後は臨床現場に本格的に戻りますが、大学院で得た知識や経験を十分に発揮し医療に貢献できればと考えています。
最後になりましたが、阿古教授、庭野先生、深谷先生、不整脈班の先生方をはじめ、これまで研究や論文執筆を指導してくださった先生方に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

2019 AHA in Philadelphia

夜中まで向き合いました

お世話になった不整脈班の先生方

 

「大学院生活を振り返って」

医療系研究科博士課程4年 白川 裕基

2021年3月に北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し、学位を取得致しましたので、御報告させていただきます。
私は医師であった祖父の姿を見てこの道を志し、祖父のように医学博士を取得することを一つの目標にしていました。私は大学院生として不整脈班に所属し、研究生活が始まりました。元々突然死に興味があり、大学院進学志望理由には突然死に関する研究がしたいと書きました。そんな中で庭野慎一先生から植込み型除細動器 (ICD)の遠隔モニタリングを用いた研究テーマをいただき、驚きとともにとてもやりがいを感じておりました。研究生活の中ではうまくいかないことなどもありましたが、先生方に御指導をいただき迷うことなく研究を進めることができました。私は「ICD植込み患者の遠隔モニタリングによる心拍変動解析を用いた致死性不整脈イベントの予測に関する臨床研究」を主論とし、欧州心臓病学会(ESC)等での発表の機会もいただきました。先生方の御指導の下、複数の学会発表の機会をいただけたこと、苦楽を共にした大学院の先輩方、同期、後輩達の存在は私にとって大きな財産です。臨床経験が浅い中で進んだ大学院生活に時に不安や迷い、後悔の念を抱いたこともありましたが、尊敬する医師像と「なぜ自分が医師を志し、なぜ循環器内科医としての道を選んだのか」という思いがいつも正しい道に戻してくれました。振り返れば色々なことがありましたが、北里大学大学院で過ごした時間は私にとって大きな糧になることと思います。
4月からはメインを臨床に戻し、循環器内科医として新たな地で働くことになります。少しの不安はありますが、それ以上に臨床に多く触れることができる喜びを胸に精進して参ります。大学院生活で学んだことを臨床の場に反映させ、臨床の中で抱いた疑問は自ら解決できる力を見につけていきたいと思っております。
最後になりますが、お忙しい中御指導をいただきました阿古教授、庭野慎一先生、庭野裕恵先生、深谷先生、岸原先生、及川先生、石末先生、西成田先生、堀口先生にあらためまして感謝申し上げます。引き続きの御指導・御鞭撻の程宜しくお願い致します。


不整脈班同期との貴重な一枚

岸原先生による御指導のもと発表した際の一枚 (APHRS 2018 in Taipei)

不整脈班 及川先生と荒川先生、おてつとの部屋飲みでの一枚

研修医時代からお世話になっている不整脈班の先生方と海外学会へ行く空港での一枚 (左から岸原先生、深谷先生、私、石末先生)

庭野慎一先生との貴重なお写真

 

大学院生活を振り返って

医療系研究科博士課程4年 矢﨑 麻由

この度、北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し、学位を取得しましたので、この場を借りてご報告させていただきます。
私は大学院に、医師5年目で入学しました。最初の1年間は関連病院に出向していましたので、大学院2年目から本格的に臨床研究を開始しました。大学院に行くことを決めた当時は、「大学病院にいるから、上級医の先生方はみんな大学院に行っているから」くらいの気持ちで大学院入学を決め、特に深く考えていなかったように思います。私は心不全班に属することになりましたが、それも「同期に心不全班に入る人がいなかったから、心不全班の先生方と行った心不全学会が楽しかったから」くらいの気持ちでした。しかし、そんな軽い気持ちで入った大学院は私の今後の医師としての世界を広げてくれたと思っています。
各疾患にはガイドラインで治療法が決まっています。しかし、私たちが実際に実臨床で目にする症例は、すべてがClassⅠの治療ができる訳ではなく、病態は複雑で、併存疾患もあり、治療に迷うことも度々あるかと思います。その様な症例に対して治療法を決めるのに必要なのは知識や経験だと思います。ただ、その様な不確かなものではなく、そこに「このような患者像には薬が有効である」ということや、「このような患者は予後が悪い」などと、何らかの特徴を見出し、統計学的な知識や他試験結果の見地も交えて臨床に応用していくことが臨床研究なのだと思います。そして、その研究計画の立て方、研究の進め方、まとめ方、発表の仕方、論文へのまとめ方などを学ぶことができたのが大学院でした。
しかし、臨床研究はわからないことだらけで、大変なことも沢山ありました。エクセル表の作り方がわからない、統計ソフトが使えない、英語の論文が読めないなど、乗り越えなくてはならない壁も多かったように思います。それでも卒業ができたのは、上級医の先生方や大学院の先輩方のご指導があったからだと思います。特に、メンターであった鍋田健先生には大変お世話になりました。4年前は何もできなかった私ですが、最後の学位論文は優秀論文賞をいただくことができました。また、4本の論文をacceptすることができました。これらは、先生方のご指導があったからだと思っています。本当に感謝申し上げます。
私は4月から大学病院勤務になります。大学院で得た知識をもとに、今後も臨床研究を続けていきたいと思っていますし、それが医学博士を持って臨床を行う医師の努めだと思います。また、後輩たちにもそれを伝えていければいいかなと思っています。最後に、これまでに多くのご指導をいただきました阿古潤哉教授、猪又孝元教授、心不全班の先生方に厚く御礼申し上げます。


The 22nd Annual Scientific Meeting of the Japanese Heart Failure Society (Tokyo, 2018.10.11)

The 83rd Annual Scientific Meeting of the Japanese Circulation Society (Yokohama, 2019.3.29)
 

 

 

 

 

 

猪又先生教授就任のお祝い (2021.2.19)

 

 

 

 

 

 

卒業式 (2021.3.22)