医局長のつぶやき

2022年03月

大学院時代の思い出

大学院生生活を終えて

医療型研究科博士課程4年 大木 卓巳

この度、北里大学院医療系研究科博士課程を修了し、無事学位を取得することができましたのでこの場をお借りしご報告させていただきます。
私は初期臨床研修を修了した2016年に、循環器内科を志して北里大学医学部循環器内科に入局をいたしました。「心不全」という個々の患者によって異なる病態を診断し、目に見える治療と目に見えない治療を駆使しながら治療に、私は入局当初より興味を抱いていたことを覚えております。いざ出向先の病院で主治医として心不全患者を診ると、その奥深さに悩まされる日々が続きました。また日々アップデートされていく情報に追いつこうと慣れない英語論文を読んでも、それを実臨床にどう活かすのか分からない自分がいました。この経験から、それまで受動的に得ていた心不全への知識を、より能動的に実践的に学んでいきたいと考えるようになり、2018年に北里大学院医療系研究科博士課程へ入学致しました。


2018年 心不全学会学術集会

大学院生の1, 2年目は北里大学病院循環器内科で臨床に従事しながら、学会や研究会などで発表をする機会に多く恵まれました。特に大学病院に戻って驚いたことは、当院の特色でもある心不全症例の豊富さです。心移植が検討された重症心不全症例や肺高血圧症合併妊娠という希少疾患など貴重な経験しただけでなく、心臓再同期療法の植込み術などの手技も多く学ばせて頂きました。また入学当初はほぼ学会発表の経験がなかった自分は、発表をするたびに質疑応答の記憶を無くしておりましたが、徐々に自分の意見が言えるまでには成長ができたように実感しております。この2年間は非常に充実したものであり、自分の臨床への価値観が大きく変わりました。


2019年 共に働いた病棟医・研修医と一緒に

大学3, 4年生以降は臨床研究に専念するようになりました。1,2年生でも臨床研究に取り組んでおりましたがなかなか成果が出せず、実臨床で感じるclinical questionを臨床研究で証明することの難しさを痛感しておりました。最終的には実臨床においても携わっていた心臓再同期療法に関する論文を無事にpublishすることができました。無事に卒業ができたのは、上級医の先生方や大学院の先輩方のご指導があったからだと思います。特に、メンターであった石井俊輔先生には大変お世話になりました。


2022年 北里大学院修了式 同期の5人と一緒に

4月からは再び臨床に身を置くこととなりますが、大学院生生活で得た知識をもとに、実臨床・医学研究に引き続き邁進して参りたいと思います。最後に、これまでに多くのご指導をいただきました阿古潤哉教授、猪又孝元教授、心不全班の先生方に厚く御礼申し上げます。


北里大学病院勤務最終日 院内心不全班の皆様と一緒に

 

大学院生活を振り返って

医療系研究科博士課程4年 片峰 正皓

この度、北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し学位を取得いたしました。また、卒業時には医療研究科の総代者に選出されましたので、この場をお借りしてご報告させていただきます。
私は自分のことを「普通の人」だと思っています。そんな私が、このような成果を挙げることができたのは、北里大学循環器内科学に入局し、素晴らしい先生たちと出会い、成長させてもらったからだと思っています。私は、”自分の専門はこれだ。”と言える分野を持ちたいと思い、医師5年目の時に虚血性心疾患・動脈硬化班として大学院に入りました。大学院1年目は横浜栄共済病院に出向しカテに明け暮れる日々を過ごしました。臨床中心の生活の日々でしたが、研究会にもいくつか発表させて頂き、臨床研究への関心が高まりました。大学院2年目から大学に戻り、本格的に研究生活が始まりました。最初は、エクセル表の作り方がわからない、統計ソフトが使えない、英語の論文が読めないなど、苦労しました。また、研究自体もいい結果が出なかったり、予想と反する結果が出たりと、なかなか思い通りにいかず研究の大変さを感じました。たくさん大変な思いをしましたが、その中でも一番苦労したのは論文を実際に書くことでした。まず、論理的に文章を書くことができませんでした。南先生に何度も何度も指導して頂き何とか書くことができました。そして、論文を書くためには、その領域に対する十分な知識がないと書けないと思い、論文を読むことの重要さを学びました。南先生からはいつも「論文を読みなさい。」と言われており、この言葉の意味がわかったと思います。この大学院生活の中で、いくつかの国際学会で演題を発表させて頂き、昨年のESCAsia21でYIA finalistに選出されたことは、とてもいい経験になりました。


(写真1) 大学院1年目。横浜栄共済病院でたくさんカテさせてもらいました。

(写真2)大学院1年目。ESC 2018(ドイツ、ミュンヘン)にて。JCSからのESC Free registrationを通して参加させてもらいました。コロナ禍前の国際学会の雰囲気を肌で感じたことは本当に良かったと思います。なぜ私がビニール傘を持っているのか全く覚えていません。

(写真3)大学院2年目。CVIT 2019(愛知)にて。これが大学院時代にオンサイトで参加した最後の学会になるとは、、、

また、臨床においても大学院4年目のときは、TAVIやMitral clipなどのストラクチャーに携わらせて頂きました。ストラクチャーの治療には阿古先生も参加されており、阿古先生と一緒の治療に入るのはとても緊張しましたが、阿古先生の術中での動作や考えを学ぶことができて、とても貴重な時間だったと思います。そして、数例ではありますがTAVI治療を行うこともできました。


(写真4)大学院3年目。久しぶりの同期会。

(写真5)大学院4年目。ESCAsia 2021にてYIA finalistに選出されました。

この大学院生活の中で、学んだことの一つがコツコツ物事を続けることの大切さです。これは研究者にも臨床医にも当てはまると思います。このことを忘れずに今後も研究、臨床に励んでいきたいと思います。
最後になりましたが、これまでに多くのご指導を頂きました阿古潤哉教授、下浜孝郎先生、目黒健太郎先生、南尚賢先生、亀田良先生、橋本拓弥先生そして虚血動脈硬化班先生方々に厚く御礼申し上げます。大学院で学んだことを今後の臨床、研究に活かし、頑張っていきたいと思います。


(写真6)学位授与式。パシフィコ横浜にて。苦楽を共にした同期との一枚。

(写真7)学位授与式。会場の巨大スクリーンに自分の名前が載りました。
自分の人生のマイルストーンの一つになると思います。

 

大学院生活を振り返って

医療系研究科博士課程4年 佐藤 哲郎

この度、北里大学院医療系研究科博士課程を修了し、無事学位を取得することができましたのでこの場をお借りしてご報告させていただくとともに、大学院生活を振り返ってみたいと思います。初期研修修了後、苦手意識のあった循環器の世界に飛び込み、さらに大学院での研究分野を決める際に、抗不整脈薬の使い方や機序、不整脈の心電図読影など特に苦手に思っていた不整脈を身近なものにできればいいな…と軽めの気持ちで所属した不整脈班でした。不整脈治療の花形ともいえる電気生理学検査、アブレーション治療(まとめてEPSとします)については詳細な知識はなく、自分が将来やっている像も全く考えていない状態でした。EPSに初めて参加した時の気持ちは今でもよく覚えています。速いスピードで流れていく何十の電位を横目に、何が正常で何が異常なのか、今何が起きているのかも把握できず、不整脈の原因となる伝導路を断つことができたのであろうか、電位がパッと変わったらしく周りのスタッフが「おーっ」と盛り上がっているのに全くついていけず、「これは本当に大変なところにきてしまった…」と青ざめた記憶がこの間のようです。臨床研究もまた何をどうすればいいのか、参考にする文献の読み方すら覚束ない、自分だけ取り残されていっているような感覚に陥ったこともありました。そんな私にも先生方は色々アドバイスをしてくださり、研究もだんだんと形になっていきEPSにも慣れていきました。本来であればこういう研究がしたい、これを専門に力をつけたいという意思を初めからもって始めるものでしょう。しかし、自分の場合は時間が経つにつれてEPSへの興味が強くなっていきましたし、自分の研究を論文にして何を伝えたいか後付けですが伝えられるようになりました。これらは本当に不整脈班の先生方のお力添えいただいたおかげで、本当に頭が上がりません。


恩師深谷先生に指導を受けている場面
先生方の指導の下EPSをたくさん経験しました。

そして、色んな事を投げ出さずにできたのも院生の同期、そして先輩・後輩に恵まれたおかげだと思います。特に同じ不整脈班の同期である松浦とは一緒にいる時間も長く、切磋琢磨できたと思っています。
院生生活の半分はコロナ禍で学会の現地開催も無く、せっかく通ったAHAも
アメリカに行くことはできなかったのが残念でした。医局の会も開催されず残念でしたが、またいつか教授とバンドを組むことも楽しみにしています。


恵まれた同期(写っていない冨井はスイスで頑張っています!)

忘年会で阿古教授とのぶっつけ本番バンド

新年度からは他病院へ出向し、久しぶりの臨床現場に戦々恐々としていますが、一臨床医として一皮も二皮も向けて成長できればと思っています。
最後に論文の作成、EPSのご指導にたくさん関わっていただいた深谷先生を始め庭野先生、岸原先生、及川先生、石末先生、中村先生、阿古教授には本当にお世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。


2021年度不整脈班の先生方と(村山君不在)

 

大学院生活を振り返って

医療系研究科博士課程4年 前村 健治

この度、北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し、学位を取得しましたので、この場を借りてご報告させていただきます。
私は大学院に、医師5年目で入学しました。大学院での研究と言っても漠然としたイメージしか持っていない状況でしたが、医学研究というものを自分でやってみたいという興味があったことが一つと、今後の医者人生の中で、常にアップデートされていく医学研究について自分で理解できるようになりたいというのが進学の動機でした。専門分野は心不全分野を選択させていただきましたが、こちらに関しては、初期研修の最後に循環器内科医を志した際から、決めていたことでした。心不全分野は、特に形態学ではなく全く形のない血行動態という病態学に重きを置いている分野で、色々と考えを巡らせた理論がそのまま臨床の治療選択につながる感覚に面白さを感じて、心不全を中心にやりたくて循環器内科を選んでいたと言っても過言ではなかったので、悩む余地はありませんでした。私は大学院1年目から4年間出向はなく、大学で全て勤務させていただきました。一言で振り返れば、とにかく多くの経験をさせていただいた4年間でした。1年目は、大学の病棟勤務と併行しながらでしたが、研究会発表、学会発表を4年間の中でも特に多く経験させていただきました。研究に関してはほぼ何もできない状態から、研究計画の作成、データベース作成、統計解析、データ解釈、スライド作成、発表まで、臨床研究の基礎を急速に学ぶことが出来ました。臨床業務としても医者人生で特に充実した1年でしたので、最も大変な1年間であったと言えますが、臨床業務を行いながらの時間のマネージメントなども含め、自分の限界が大きく広がったとても貴重な1年間でした。2年目以降は論文執筆への本格的な取り組みに加えて、海外学会にも挑戦させていただきました。大変残念ながらコロナ禍に入ってからは学会、研究会は全てWeb開催に移行してしまいましたが、幸運ながら、コロナ禍前の2019年にギリシャのアテネ開催のESC Heart Failureで発表を経験させていただきました。海外旅行も数えるほどしか経験がない状況でしたので、期待よりも不安の強い心境でしたが、心不全班の池田先生、鍋田先生と、パリから駆けつけて下さった北里先生と共に、学会会場のみでなく、風光明媚な地も巡ることができ、全てとても刺激的な貴重な記憶として残っています。その後もWeb発表ではありましたが、日本循環器学会、ESCにて英語発表を経験させていただき、多くを学ばせていただきました。また、研究に併行して、当班の専門分野としては、病棟医、病棟チーフ勤務中には心臓移植待機症例を含む最重症心不全症例の診療も経験させていただき、加えて、病棟を離れた後も心筋生検読影、デバイス治療、肺動脈カテーテル治療など臨床業務にも多く参加させていただき、全て貴重な経験となりました。


ESC Heart failure 2019 Poster発表後、池田先生と

ESC Heart failure 2019 ギリシャ スニオン岬にて

論文作成に関しては多くのご指導をいただきながら、拡張型心筋症に認める虚血性心疾患様の心電図所見についてをメインの研究テーマとして、3年生で論文のacceptに至り、この度無事に博士号を取得させていただきました。在学中の心不全班は、一人の指導医の先生に中心となってご指導をいただく指導体制であり、私は池田先生にご指導をいただきました。文字通り二人三脚に近い体制で、スライド一つ満足に作れない状態から始まり、発表テクニック、論文執筆まで本当に多くをご指導いただきました。自分一人ではきっと諦めてしまうような量の研究活動に挑戦できたのは、常にバックアップをしていただいていた安心感があっての結果だと思っております。加えて、班内の研究発表で、大変多くのご指導をいただいた心不全班の先生方にも深く感謝申し上げます。先生方と研究のディスカッションをさせていただく時間は、当然ながら緊張しつつも、楽しいひと時でもありました。


日本心不全学会学術集会 2019 広島

大学院2年 病棟医勤務期間の最後に病棟のメンバーと

新年度からは、医師3年目で循環器内科の基礎を叩き込んでいただいた北里メディカルセンターにて、臨床業務主体の生活に戻らせていただきます。まだまだ未熟者でありますが、大学院にて得た知識、研究者としての目線を持って、今後とも臨床医療、医学研究に貢献していきたいと考えております。最後に、阿古潤哉教授、心不全班の先生方をはじめ、これまで研究や論文執筆でご指導をいただきました先生方に厚く御礼申し上げます。


学位記授与式後、同期と

 

大学院生活を振り返って

医療系研究科博士課程4年 松浦 元

この度、北里大学大学院医療系研究科博士課程を修了し、学位を取得いたしましたので、この場をお借りしてご報告させていただきます。
私が大学院に入学したのは、卒後5年目になります。卒後3-4年目に出向先での臨床経験を通して、自分の知識や能力が不足していることを痛感するとともに、心臓の奥深さや未解明な領域があることに触れ、研究を通してよりレベルの高い医療を行いたいと考え大学院へ進学しようと考えました。専門領域を選択する際には、generalistとして活躍されながらも、不整脈を理論的に治療している上級医の先生方に憧れ、不整脈を専攻することに決めました。
大学院に進学して最初の1年半は、大学病院の病棟医、チーフとして臨床経験を積みながら、臨床研究、学会発表を開始しました。大学病院で重症度の高い患者を診療しながら、不慣れである臨床研究、基礎実験などを行うことは、身体的にも精神的にもかなりつらく、何度も挫折しそうになりましたが、先輩方や同期に支えられることで頑張れたのだと思います。そして、本格的な大学院生活が始まると、不整脈チームとしてカテーテルアブレーション、デバイス治療を中心に臨床に参加しつつ、臨床研究と基礎実験、学会発表を行っていく生活が中心になりました。自分は要領がいい方ではなかったため、とにかくやれることを頑張るという姿勢で努力していくしかありませんでした。特にEPに関しては、心内電位の読影や解剖の理解に苦労し、今までの知識が通用せず、新しいことを一から学んでいるという感覚で、悔しい思いを何度もしました。そのため、少しずつ理解できるようになり、自分で治療を行うことができた時は頑張ってきてよかったと心から思うことができました。また、経験が増えるにつれて、指導医の先生方の凄さをより感じるようになり、改めて尊敬するとともに、とても恵まれた環境で学んでいるのだと実感できました。

尊敬する不整脈班スタッフ先生方
同期、後輩
(深谷先生、岸原先生、石末先生、中村先生、哲郎先生、齋藤先生、三谷先生)

大学院の研究生活においては、英語論文として臨床研究、基礎実験で共にacceptを頂くことができ、ESC、AHA、JCSなどの国際学会を含めて全16演題の学会発表を経験することができました。特に、私にとって初めての論文である岸原先生にご指導いただいた臨床研究がacceptされたときの感動は今後も忘れることはないと思います。また、基礎実験においては深谷先生、小川先生、川上先生に多くのご指導をいただき、journal of cardiovascular electrophysiologyにaccept頂くことができました。
こうしてつぶやきを通して振り返ってみると、私は本当に周りの上級医、同期、後輩に恵まれていたのだと改めて感じます。4月からは大学病院不整脈班として尊敬するスタッフの先生方と臨床経験を積むことができることを幸運に思い、成長できるように頑張っていきたいと思います。
最後になりますが、お忙しい中多くのご指導をしてくださいました阿古教授、庭野先生、深谷先生、岸原先生、及川先生、石末先生、中村先生、研究のサポートをしてくださった濱崎先生、小川先生、川上先生、同期、後輩、その他多くのご協力をいただきました先生方、スタッフの方々に改めて感謝を申し上げます。引き続きの御指導・御鞭撻の程宜しくお願い致します。

基礎実験チーム
(深谷先生、小川先生、川上先生、田崎さん)
前向き研究を支えてくれた濱崎先生
病棟チーフ卒業を祝ってくれた先生方・研修医 支えてくれた同期達