医療系研究科博士課程3年 村山 友介
北里大学循環器内科学 大学院3年生の村山 友介と申します。
今回2022年8月26日から8月29日までESC Congress 2022がバルセロナ(スペイン)で開催され(写真1)、Moderated e-poster Sessionで発表させて頂きました。
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新型コロナウイルスが感染拡大し始めてから約2年半が経過し、久しぶりのOn siteでの海外学会開催となりました。
開催時点で日本はコロナウイルス第7波の真っ只中であり(東京では感染者2万人/日)、マスク装着は欠かせない状況となっています。しかしながら、海外では外でのマスク着用義務はなく、今回のESCの発表者はOn siteのみの参加となりました。今回のESCには大学院生4年目朝倉先生(筆者と同期)、練馬光が丘病院に出向中の西成田先生と共に参加させて頂きました。コロナ禍でありながら、海外学会に参加する機会を頂けたことに感謝し、指導していただいた北里先生をはじめ多数の先生方に改めて御礼を申し上げます。
さて、今回開催されたバルセロナはスペインの東に位置し、地中海に面しています。乾燥していると思っていきましたが、じめじめしており30℃と暑く、日本と似ている印象でした。ガウディの建築物で有名であり、いまだ建築中のサクラダファミリアをはじめ数々の観光地があります。
まず驚いたのは、バルセロナでは屋外で誰もマスクをしていないことでした。日本との違いに強い違和感があり、1週間滞在していましたが、最後まで慣れませんでした。テレビの報道等で把握していましたが、海外は本当にコロナ禍が終わったように感じてしまいます。学会会場でも同様にマスクを装着している方はほとんどいませんでした。
海外学会は初めての参加になりましたが、会場の雰囲気に圧倒されました。コロナ禍の前と比べると参加者もかなり少ないと思いますが、世界各地から医療者が集まっており、会場は熱気に包まれていました。
私はmoderated e-posterでの発表であり、演題は「Evaluation of the direct protective effects of Canagliflozin on the isoproterenol-induced cell injury in rat cardiomyocytes.」でした。座長の先生方は優しく、大変参考になる意見を頂けました(写真2)。
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虚血班の朝倉先生はslideでの発表であり、演題は「Higher triglyceride level is associated with the higher prevalence of layered plaque in nonculprit coronary plaques」でした。とても素晴らしい発表であり、また座長の早口な英語の質問にもしっかり答えており、さすがでした(写真3)。
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不整脈班で、出向中の西成田先生はmoderated e- posterでの発表であり、演題は「Prognosis of low-flow low-gradient aortic valve stenosis with atrial fibrillation.」でした。英語での質疑応答が完璧なのはもちろんですが、出向中に研究を自分で立案し、データベースを作成、ESCに演題を通すお力は、大変勉強になりました。また、いままでも何回も海外学会に参加しており、1週間を通して我々を引っ張って頂き、スムーズに学会参加ができたことをこの場を借りて改めて感謝申し上げます(写真4)。
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阿古教授も現地に参加しておりましたが、あまりの忙しいご様子に驚きました。会議、座長、コメンテーターを数多くこなしており、世界最大級の学会であるESCで活躍されている阿古教授が北里循環器内科学のトップであることに改めて感謝しなければと思いました。(写真5)
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コロナ禍ではありましたが、阿古教授とサクラダファミリア観光(写真6)、夕食を共にさせていただき、美味しいパエリアやワインを頂きました(写真7)。阿古教授と食べたイカスミのパエリアは一生忘れません。
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オランダのライデン大学に留学中の鍋田先生にもお会いすることができ、夕食をご一緒させて頂きました。留学のお話しをうかがうことができ、また大変楽しそうに海外で研究をさせているのをみて尊敬とともに自分自身のモチベーションが大変上がりました(写真8)。
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また、今回Hot line sessionの発表も拝見することができ、注目されていたDELIVER試験では、SGLT2阻害薬であるダバグリフロジンのHFmrEF、HFpEFへの有効性がEMPEROR-Preserved試験と同様に示されました。さらに、REVIVED試験では虚血性左室機能障害(LVEF<35%)に対してPCIがOMTと比較して有効性を示せなかったため、Ischemia試験と同様に会場では落胆の声が漏れていました。
どちらも同日にThe New England Journal of Medicine誌に掲載されており、Revived試験の結果は残念ではありましたが、大きな研究の発表の瞬間を肌で感じれたのはとても良い経験となりました(写真9)。
![]() 写真9 |
今回、海外学会に参加させて頂きましたが、やはり日本からの参加はかなり少ない印象でした。今回のESCの現地での開催をきっかけに、今後は日本からコロナ禍以前のように海外学会に参加できることを願い、今回のご報告とさせて頂きます。
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